「撒き餌」で子どもの興味を探してみる
――そのためには、子どもがどんなことに興味を持っているか、しっかり観察する必要がありますね。
柳沢 できれば、普段からコミュニケーションを取って子どもと話をすることが一番いいのですが、それでも興味の対象が分からない時は、“撒き餌”をしてみるというのもひとつの手です。いろんなことに触れさせ、いろんな経験をさせてみる。そのなかで、どんなときに子どもの目が輝くのか観察してみてください。
気を付けたいのは、たとえゲームばかりをやっているとしても、頭ごなしに否定しないこと。ゲームをやるなら徹底的にやればいい。「だけど、ただお金を払っているだけじゃつまらないから、どうせならゲームを自分で作ってみれば?」と、ほんの少し方向性を変えて、“好きなこと”と“お金を稼ぐこと”を結びつけて考えられるようにヒントを出してあげる。そして、どんなモノを作れば儲かるかなど、職業としてゲームを話題にしてみると、子どもも好きなことで稼ぐ手段を考えるひとつのきっかけになると思います。
――なかには、働くことに関心を持てない子もいます。「何のために働くの?」と聞かれたら、親としてはどう答えればいいのでしょうか?
柳沢 働いてお金を稼ぐということには、2つの側面があります。まずは、自分自身が自由に生きていくため。これが第一。稼いだお金で衣食住を満たして、生活の基盤を整えます。いわば、生存のための労働ですよね。と同時に、自分の人生を自分好みに選択することのできる自由が得られる。
二つ目は、「社会に貢献している」ということ。つまり、収入を得るということは、自分の存在が、社会のなかで“誰かの役に立っているという証”なのです。最初は、子どもも言葉の意味を理解できないかもしれませんが、そのうち響く時がくるのではないでしょうか。