「『誰かのために働き、それを通じて自分が成長を目指す』ことも家族と切り離せないと考えるようになりました」

「短期間であれば一定の配慮をすることも可能ですが、配属は本人の適性を見て決めるので東京に長く勤めることもあります」(昨日の電話を受けて、事前に人事とも話していたのだろう)

「私の気持ちの変化で、ご迷惑をおかけして申し訳ありません」

 娘は、彼から批判めいた反応がなかったので、かえって申し訳ない気持ちが募ったという。B社には初めの面接の時から世話になっていたし、本当はまだ未練もあったからだ。
 
 後に私が聞いた時も、娘の話は一貫しており説得力があった。内々定者の会合で祖母の話をしていたし、B社の内容を他社と天秤にかけたのでないこともスムーズに受け止めてくれた理由であろう。

 こうして娘の就活も最終の区切りがついた。

<4月末時点の友人の状況>

 大学の友人の多くは最終的な会社選びが終了しつつある。メガバンク、損保、地銀、通信、電気、硝子、信託、エネルギー、機械などなど。

 ただ、この時点で苦戦して就活を続けているゼミのメンバーもいる。また女子学生の中には総合職を諦めて、一般職の面接に廻った友人もいた。企業側も総合職の採用が終了してから、一般職の面接を始めるのは昔と同じだ。

 就活の絡みで授業に出席しない学生も多く、ゴールデンウィークの休日も重なって、すべての友人の情況はつかめない。この機会に地方の実家に帰省している学生もいるそうだ。

就活を通して
成長した娘

「就活をやりながら、裕美はすごく成長したと思うの」

「どういう風に?」

「自分の意見をはっきり言うようになったし、就活の話もわかりやすくなったの」

「そんなに変わらないよ」

「いやっ、それは間違いないわ」

「本当は、今でも面接には自信はないの。私は時間をかけて話さないと相手を理解できないタイプだから。あまり器用じゃないの。少しは簡潔に話せるようになった意識はあるけど」

「その簡潔さは大事だよ。長く話すとその分インパクトがなくなるんだ。相手の話をよく聞いて簡潔に話すのがベストだね」

 娘は、集団面接を受けた際に、冗長に自己アピールする人が多いのに気がついた。その時の面接官の顔つきを見ながら、簡潔に話す方がいいと修正したようだ。就活の終盤は、初めの挨拶とごく簡単な自己紹介をはきはき話し、それ以降は、相手の様子を見ながら短く話して会話を楽しむように心掛けた。初めの頃は、多くの情報を伝えようとダラダラと話しがちだったという。

 私なりに解釈すれば、面接は、コミュニケーションの場であって、自己アピールやコンテストではないことを「簡潔に話す」という視点から掴んだのではないかと考えている。