政府が行う消費税増税の影響緩和策のもう1つの柱が減税措置だが、消費税増税の影響緩和策として法人税減税や投資減税を行うのはナンセンスである。消費税増税によって影響を受けるのは民間消費や住宅投資、そして家計の実質所得だが、これらが減ることは国内需要が減ることを意味する。輸出が大幅に増加する可能性を除けば、国内需要が減る中で企業が生産を増やすために設備投資を行う可能性は低いだろう。こう考えると、設備投資を刺激するために投資減税や法人税減税を行ったとしても、そもそも設備投資が増える環境にないため、政府が想定する経済効果をもたらさないのではないか。

視点4
日銀の金融政策

 4つ目の視点は日銀の金融政策についてである。日銀が行っている量的・質的緩和策は予定通り行われ、日銀が掲げる2%インフレ率の達成・安定化の途中段階にあるものの、黒田総裁や岩田副総裁が述べるように効果的に作用している。つまり予想インフレ率の高まりは円安や株高を生み出し、それは総需要を刺激し、予想インフレ率のみならずインフレ率の上昇につながっている。図8は量的・質的金融緩和導入前後のマネタリーベース、日本銀行保有長期国債(ともに末残ベース)と消費者物価指数(食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数)前年比の推移をみているが、統計データはこうした見方を裏付けるものと言えよう。

 黒田総裁は昨年12月20日の金融政策決定会合後の記者会見で消費税増税の影響について問われた際に、消費税増税に伴う駆け込みと反動減の動向は注視する必要があるものの、駆け込みと反動減は相殺されるため、むしろ重要なのは消費税負担が増えたことによる(実質所得減少を通じた)個人消費への影響がどの程度あるかだとし、さらに多くの既存研究では実質所得減少を通じた個人消費への悪影響はそれほど大きくないと述べた。他方、毎月開催される金融政策決定会合において上下双方向のリスクを点検し、必要に応じて調整を行うことを改めて強調した。