こんな状態のまま、何も手を打たずに内需がさらに落ち込み続ければ、景気回復への道は限りなく遠ざかってしまう。それならば、国民の消費意欲を少なからず刺激する定額給付金は、確かに「やらないよりはやるほうがよほどマシ」と言えるのかもしれない。

 他にも、前向きな意見を持つ関係者は少なくない。

  「当初批判はあったものの、米国の“ブッシュ減税”や台湾の商品券給付などは、それなりの経済効果を指摘されている。一般的な景気対策に対して、日本でこれだけ批判が盛り上がったのは不思議。以前、麻生首相も口を滑らせたように、日本人はおカネをもらうことにアレルギーが強いのかもしれない」(銀行系シンクタンクのエコノミスト)

  「定額給付金と比較されがちな地域振興券については、支給が行なわれた当時、日本は“国内発”の不況のさなかにあった。金融機関の不良債権処理が進まないまま、カネだけバラまいても効果が出ないのは当然。今回の“海外発”の不況とは状況が違うので、同列には論じられないと思う」(中堅証券会社のアナリスト)

  「最近では、給付金を障害者や高齢者のボランティアに寄付しようと考える人も増えていると聞く。経済効果も重要だが、一般国民が所得を分け合おうという意識が広がるのはもっとよいこと」(介護系のNPO団体)

サービス業で顕著な給付金効果
自動車、デジタル家電にも期待

 では実際のところ、足許で消費は盛り上がり始めているのだろうか? これについては、「一時的な収入ということもあり、巷ではモノよりも外食や旅行などのサービスへ消費が向かう傾向が強まっている」と菅野部長は指摘する。

 事実、すでにポジティブな兆候が見られるのが、不況による客足減に悩んでいた旅行業界である。定額給付金を睨んでJTB西日本が募った「格安中国ツアー」は、そのよい例だ。「2泊3日、1万2000円」のコースは、定員の60倍以上もの問い合わせが来たほどの盛況ぶりだったという。

 これに負けじと、日本旅行は3月末からインターネット予約専用の格安商品「定額給付金で行こう! バラエティBOX 12000」を発売した。全国どこでも1万2000円以下で行けるプランは、発売当初から問い合わせが急増しているという。

 旅行業界の活況に合わせるように、プリンスホテルが「1泊1万2000円の定額給付金宿泊プラン」を全国で開始するなど、ホテル業界も活気を取り戻し始めた。