次のメシの種はあるのか?
コア3事業だけでは心もとない

 そして、事業環境の変化に見合った組織体制に改編したとして、次に立ちはだかるのが、次の成長の軸になる事業・個別製品が見当たらない点である。

 同社が標榜するコア事業のモバイル(主にスマートフォン)、イメージング、ゲームだけではあまりにも心もとない。

 スマートフォンは既に市場が10億台を超え成熟期に入ろうとしている。ソニーは激しい競争環境のなかで健闘し、3位争いに食い込んでいるものの(13年暦年の販売台数約3900万台)、台数では1位のSamsung Electronics(約3億台)はおろか、2位のApple(約1.5億台)に追い付くための具体策に乏しく、3位の座を狙うブランドは同社以外に10社以上存在する。コモディティ化も進んでおり、現在の戦略の延長線ではスマートフォンを高収益事業にするのは至極困難である。

 イメージング(カメラやCMOSセンサ採用製品など)もデジタル一眼市場が踊り場を迎え、スマートフォンの高画素化も20Mあたりで一服感がある。セキュリティや医療機器などBtoB領域は有望だが市場拡大の速度が遅い。

 ゲームはPS4の販売好調が救いだが、コアゲーマーの需要が一巡したあとの状況を観察する必要がある。また、これまで通りハードウェアの販売数量見合いでソフトウェアが売れるか否かも要注目である。ヒット作の輩出は言うまでもなく、今後はPS4のプラットフォームを通じ、ソフトウェアのオンライン販売シフト、定額サービス会員の増加、音楽や映画などその他のコンテンツの拡販の重要性がさらに増していく。

 結局のところ、時代の潮流であるスマートフォンとタブレットPCで大きな収益を上げられない同社は、それ以外の製品で大きなヒット製品を生み出し、ゲームのルールを自ら変えていくか、既存製品で着実に稼ぎつつ、各製品をプラットフォームとして、コンテンツ販売を広げていくか、選択肢は多くない。

 とはいえ、冒頭に述べたように、同社製品は確実に再びその魅力を少しずつながら取り戻しつつある。願わくば、筆者の想像もつかない新製品を世に送り出し、一気に現在の劣勢を挽回することを期待したいところである。

「構造改革の成功例」と認識されつつも
持ち株会社化と事業部の整理が必要

 パナソニックは、13年3月期までに二期連続で7000億円を超える巨額の当期赤字を計上した。

 しかし、今期(14年3月期)の営業利益は会社計画2700億円をクリアする可能性が高く(ドイツ証券予想2900億円)、当期利益も1400億円(ドイツ証券予想)と3期ぶりの黒字化が見込まれる。

 経営陣の自信を表す行動として、昨年8月には復配(上期5円)を発表、今年2月にはさらに増配(下期8円)も発表した。金融市場においても、エレクトロニクス業界では、日立製作所に続き、構造改革を成功させ、再度成長軌道に乗ろうとしている企業として認知されつつある。