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【第39回】 2014年4月2日
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ダイヤモンド・オンライン編集部

もはやデジタル・マーケティングではなく、マーケティングのデジタル化が現実――Adobe Summit 2014、現地レポート

――今後のマーケティング・クラウドで注力されることは。

 モバイルソリューションは今爆発的に伸びてきている。特にマーケティング・クラウドはモバイルの環境によく統合されている。アプリやモバイルの通信環境に非常によく統合されている。おそらく非常に近い将来にデスクトップよりモバイルのプラクティスが上回るだろう。

――さらに新しいソリューション分野は追加していくのか。

 マーケティング・クラウドはすでに業界で最も総合力があり、網羅性の高いソリューションだが、機能やビジネスの機会は増やしていかないといけない。モバイルの分野は引き続き高い成長を追求していく、キャンペーン管理も幅も領域も成長率も促進していきたい。

 もう一つ、アドビはビッグデータの提供者として最大級のプレイヤーになっている。ビッグデータを提供するケイパビリティももっと大きくさせていきたい。

――マーケティング・クラウドの最大の脅威は何か。

 どんなにテクノロジーが優れていても、それだけで役に立つことはない。新しいテクノロジーを使う人をどうトレーニングするのか、チームをどう編成するのか、プロセスをどう適合させていくのか。それらも同時に取り組まないと失敗する。人とプロセスの再創造も必要だ。

 特に日本については、従来のマーケティングスタッフの再教育ということもあるが、デジタル時代の顧客とエンゲージをするスキルを持った若い世代を積極的に採用していくべきではないか。

――デジタル・マーケティング自体がネットへの不信を醸成する要素になっている面もある。

 その問題については、マーケター自身が消費者として感じる欲求に立ち返ることが重要。彼らは信頼できるブランドと関係をつくることは望んでいる。コンシューマが価値を交換していると感じない経験、たとえば、買ったことのない店から頻繁にメールがくるのはプライバシー侵害と感じるが、信頼できるブランドの会社からのメールは広告でも受け取りたいものだ。

 そうなるように、マーケターはよりよい仕事をしなければいけない。顧客の信頼感に反するようなことには線を引き。信頼できるブランドづくりに徹することだ。アドビとしては、企業がよりよい顧客経験を実現するためのテクノロジーを提供していく。

 埋め込みタグによる遅延やプライバシーの問題も解決すべく投資していく。企業それぞれにプライバシーポリシーがあるが、チャネルによる齟齬があったりする。こうした齟齬の是正、国によって異なるプライバシーへの規制、といったこともテクノロジーで対応できる。セキュリティを十分に理解したうえで、テクノロジーへ投資し、この点は慎重に進めていく。

――リーマンショック後に、金融界の人材がアドテク(広告技術)に流れたが、あなたも投資銀行出身だ。

 私の母校ブリガムヤング大学では、最近は数学のできる経営学部の学生は、ファイナンスではなくマーケティングを専攻するそうだ。私が学生の頃に今のような状況なら、私もきっとそうしただろう。MBAコースで進んだケロッグ経営大学院でも、マーケティングを専攻する友人に「そんなことをやらずに、統計やファイナンスをやったらどうだ」と言った。その友人は計算が苦手だからマーケティングを選択したと言っていたのだ。

 しかし世界は逆転した。マーケティングには、アートとクリエイティビティがまず必要だが、そのうえに科学や数字、データが必要になってきているのだ。

(ダイヤモンド・オンライン編集部 魚谷武志)

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