主婦ライターとは、主婦をしながらフリーライターをする女性たちを意味する。20年近く前までは、フリーライターといえば20~40代の男性が多く、一部に主婦ライターがいた。

 ところがこの十数年は、その「勢力分布図」が大きく変わった。長引く不況により、ライターの仕事が大幅に減り、収入も激減した。その流れの中で、特に20~30代の男性のライターが大量に消えた。きっと人生設計のめどがつかないと感じたり、低収入のあまり、家族を養うことができないと考えたのだろう。

 さらに同じ時期、インターネットの浸透で出版界の仕事のあり方は大きく様変わりしている。特に目立つのは雑誌の仕事が減り、インターネット関連が増えたこと。このような変化の中で、主婦ライターが急速に増えた。

出版産業の斜陽、原稿料切り下げの末
Webメディア界に台頭する「新興勢力」

 主婦ライターが台頭する大きな理由の1つが、ウェブ制作会社などが運営するサイトにある。ここで、通常の雑誌や書籍とは比べものにならないほどの安い原稿料で原稿を書く。一概に比較することは難しいが、筆者の印象では、双方は同じ分量の原稿を書いたとしても、手にするギャラの金額には10倍近くの開きがある。

 言い換えれば、この手の仕事をメインにする主婦ライターは、一定水準以上の出版社などが発行する雑誌や書籍で、コンスタントに書くだけの力量や実績には乏しいのかもしれない。

 誤解なきように言えば、筆者が観察する限りでは、主婦ライターの2割はプロと呼べる人たちである。主要な出版社などが発行する雑誌や書籍で、一定のレベルに達した記事などを定期的に書いている。この女性たちの平均年収はおそらく、100万円ほどと思われる。とはいえ、今や出版界の貴重な戦力となっている。

 残りの8割が、この十数年、一気に増えた「新興勢力」だ。その力量も実績も、従来の主婦ライターとは相当に異なる。さしたる実績はなくとも「ライター」と名乗ることに、喜びを感じるようだ。そこに自らのアイデンティティーを強く求めている。少なくとも、筆者にはそのように映って仕方がない。