「ハゲタカ VS 赤いハゲタカ」――。

 こんなセンセーショナルなキャッチフレーズを掲げて、先週末から映画「ハゲタカ」が公開された。

 国家の莫大な資金を背景に、日本企業に容赦ないTOBを仕掛ける中国系ファンドの姿は、フィクションとはいえ、見る者に衝撃を与えている。この中国国家ファンドの「真の姿」については、第2回コラムで詳しく紹介した通りだ。

 だが、国家ファンドは何も中国に限ったものではない。「主要なものだけでも全世界に40程度存在する」と言われている。

 なかでも、以前から大きな存在感を示しているのが、オイルマネーを原資に天文学的な資金を運用する「中東湾岸諸国の国家ファンド」(以下、中東国家ファンド)である。

 今年2月にKPMGが発行した『Private Equity & Venture Capital in the Middle East:Annual Report 2008』は、一章を割いて中東における国家ファンドの分析を行なっている。

 同レポートによると、「総運用資産3兆ドル」とも言われる世界の国家ファンドの地域別分布割合は、中東48%、アジア34%、欧州13%、アメリカ他5%の順になっている。

 中東、アジアなど新興国の国家ファンドのみで、実に全体の8割をカバーしており、今や「世界の富は天然資源の輸出と貿易黒字による外貨獲得により、中東とアジアに回帰している」と言っても過言ではない。

先進国と比べれば、一見地味にも見えるアブダビ市内の目抜き通り。だがこの街には、世界経済の行方を左右するほどのパワーマネーが眠っているのだ。

 とりわけ中東の国家ファンド群は、「全世界の約半分」という莫大なシェアを占めており、名実ともに圧倒的な存在感を示しているのだ。

 そこで今回は、「資源型国家ファンドのメッカ」とも言われる中東湾岸諸国のファンドについて、その「知られざる姿」を詳しく分析してみよう。

 まず、湾岸諸国とは、GCC (Gulf Cooperation Countries/湾岸協力諸国)を構成する6ヵ国のことだ。具体的には、人口でGCC全体の約7割を占めるサウジアラビアを筆頭に、UAE(アラブ首長国連邦)、クェート、オマーン、バーレーン、カタールなどの諸国を指す。

 一方で、この6ヵ国はOPEC (Organization of Petroleum Exporting Countries/石油輸出機構)にも加盟している。OPECはGCCを含む13ヵ国で構成されており、世界全体の原油生産量の約4割を占めている。