サウジアラビアのリッチなビジネスマン Photo:PIXTA サウジアラビアのリッチなビジネスマン(写真はイメージです)  Photo:PIXTA

サウジアラビアは従来、とても保守的でした。特に、女性の服装や車の運転などは制限が多かったのですが、近年は、改革派であるムハンマド皇太子の指揮のもと大きく変わろうとしています。変化が起きているということは、ビジネスチャンスが転がっているということ。日本にはたくさんの優れたものがあり、世界的に大きな知名度を誇るものも少なくありません。中東の人たちは「よい」と思えるものであれば、お金を使ってくれるのです。

※本稿は、石田和靖著『第三世界の主役 「中東」 日本人が知らない本当の国際情勢』(ブックダム)の一部を抜粋・編集したものです。

柔軟なアイデアで中東に隠されたビジネスチャンスをつかむ

 従来、とても保守的だったサウジアラビア。例えば親族女性の居場所を追跡できるアプリ「アブシャー」が普及するなど、女性の権利はいまだ完全に認められているわけではありません。

 しかし近年は、改革派であるムハンマド皇太子の指揮のもと、大きく変わろうとしています。サウジアラビアでは女性の服装に制限がありますが、ムハンマド皇太子がアニメ好きということもあり、最近はコスプレイベントなどで好きなキャラクターの格好ができるようになりました。また、女性の運転も解禁されています。

 変化が起きているということは、ビジネスチャンスが転がっているということでもあります。特に、日本のアニメ・ゲームコンテンツは中東で高い人気を誇り、面白い取り組みができるのではないかと予想しています。メーカー系は韓国にお株を奪われている状況ですから、今、日本が最も力を入れるべきはアニメやゲームの知的財産を生かした市場を切り開くことです。

 サウジアラビアは車社会で、砂漠の空き地にガソリンスタンドがたくさん点在しています。

 例えば、その横に大きなスクリーンを用意してドライブインシアターを展開したら面白いのではないでしょうか。サウジアラビアは家族単位で行動するため、そこで使われるお金もそれなりに大きい額です。コンテンツホルダーがサウジアラムコと提携して、娯楽の場をつくり出すというのはとても現実的なアイデアだと思います。

 また、アラブ人の見栄っ張りな特性を考慮したビジネスも面白いかもしれません。僕の友人が、サウジアラビアで10万円のドレッシングを販売しました。普通だったら絶対に売れるわけがありませんが、彼は前代未聞の超リッチなドレッシングを完売させてしまいました。

 そもそもサウジアラビアには、美味しいドレッシングが少なかったことがあります。少し前までは塩、コショウ、レモンを掛けて野菜を食べることが一般的でした。

 そのことを僕が食品加工会社に勤める友人に話したところ、「サウジアラビアにドレッシングを売りに行く」と言い始めました。中東の人々はネームバリューを重視しますから、無名の食品加工会社が進出したところで勝ち目なんてありません。しかし、彼は「勝算がある」と言って耳を貸しませんでした。