オバマ米大統領の来日もあり、最近の経済政策絡みの報道はTPPばかりですが、その陰でもっと憂慮すべき事態が起きつつあります。安倍政権は6月に新しい成長戦略を策定する予定ですが、ここ最近の政策絡みの動きを見ている限り、本当に大丈夫だろうかと不安にならざるを得ないのです。
必要なのは産業政策ではなく構造改革
そもそも、成長戦略として必要なのは、政府が民間企業に手取り足取り関与する産業政策ではなく、逆に民間企業を突き放して自分で頑張らせる構造改革です。政府の支援ばかりを当てにしている民間企業が強くなるはずないし、交付税ばかり当てにしている自治体が地元経済を活性化できるはずないからです。
ところが、安倍政権が昨年策定した成長戦略は産業政策がその大半を占めたため、海外の投資家や専門家がまったく評価せず、昨年半ばから今に至る日本の株価の低迷につながっています。
一方で、構造改革としてやるべき政策は明確です。岩盤規制の改革(医療、農業、教育、雇用制度などでの規制改革)、法人税減税、TPP参加を筆頭とした自由貿易、道州制を含む地方分権と、これまでずっと必要性が言われ続けているのに実行できていない改革をやればいいのです。
即ち、産業政策中心の昨年の成長戦略は失敗であった一方、構造改革でやるべき政策は既にリストアップできているのですから、6月の成長戦略はそれをやるかやらないかだけなのです。