岩佐 もちろん、事業を行う過程でさまざまなことがありましたし、被災地の復興をずっと見てきた者として思うところもたくさんあります。そんななか、真山さんの小説『そして、星の輝く夜がくる』を読んで驚いたのは、ここで書かれていることは本当に被災地で実際に起こっていることばかりだということでした。
真山 今回は人への取材は少なかったのですが、実際に被災地を訪れ、その場所で感じたこと、見聞したことと、自分が阪神・淡路大震災で被災した体験をもとにして書きました。
岩佐 本当にリアルな情景が浮かんでくるようでした。外から赴任してきた教師の小野寺に調整役の校長、地元でご用聞きをするあんちゃん(中井)、そして統制の取れたエリートのボランティア集団……。僕が思うに、被災地には当初、良くも悪くも「そわそわ感」がありました。新入生を向かえた大学のキャンパスのような、落ち着かない雰囲気です。統制のとれたボランティアはとてもありがたい存在である一方、そうした創発性をうながす「そわそわ感」を失わせることにもなったと思うんです。
真山 当然、ボランティアの存在は重要です。しかし、岩佐さんもご著書で書いているとおり、「援助を待っていないで、自分で立ち上がらなければいけない」という側面もある。このことについて、岩佐さんとじっくり語り合いたいと思っていました。
岩佐 ぜひ、とことん語り合いましょう。
(中編へつづく)
(次回は、5月15日掲載予定です)
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