NECが10月に興味深い技術を発表した。

 『リモートスクリーンテクノロジ』と命名された技術だが、ひとこというならリモートコントロールだ。ネットワークでつながったパソコンをクライアント機器で操作しようというものである。

 分かりやすく説明しよう。Windows Vistaにも「リモートデスクトップ接続」という機能が用意されている。たとえば、ネットワークでつながったノートパソコンから、デスクトップを操作できるのだ。この仕組みを使うと、外出先から会社のデスクトップをコントロールできる。出張先のホテルから、会社にしかないアプリケーションを起動して、会社にしかないファイルを開いて編集し、取引先に送れる。つまり、ホテルのノートパソコンでは、遠隔地からコントロールしているだけなのだ。

 このリモートコントロール自体は、古くからあるテクノロジーだ。さて、NECの新技術は、専用のボードを利用して、データを圧縮して送受信するのが特徴だ。つまり、ホドホドの回線速度でも、実用的に使えることを目指している。

 この技術がパソコンのあり方を変える可能性が大いにあることにお気づきだろうか?

パソコンが1人1台になる

 タイトルを見て「いまや1人1台など当たり前だ」と思われた方は、逆である。いまや、携帯ノートを含めると、多くのユーザーが1人で複数台数のパソコンを使っているのだ。スマートフォンや携帯電話もCPUを内蔵しているので、ある種のパソコンと考えても良いかもしれない。

 僕を含め、複数のパソコンを使っているユーザーはデータの同期にずっと苦労してきた。つまり、オフィスのパソコンと持ち出した携帯ノートのファイルを同一にする苦労を重ねてきたのだ。スマートフォンや携帯電話でも、スケジュールやアドレス帳を会社のパソコンと同期している人もいるだろう。だが、リモートコントロールしてしまえば、ファイルの同期を考える必要はない。外出先から、会社のデスクトップのファイルを利用すればよいのだ。