あなたは「酒好き」か「アルコール依存症」か?“10個の質問”でわかる境界線【チェックテスト付き】仕事終わりの1杯は最高、しかし飲み過ぎは禁物だ(写真はイメージです) Photo:PIXTA

アルコール依存症は、脳に異常が起こって飲むことをやめられなくなる症状です。「飲み過ぎ」との境界線はどこにあるのでしょうか。アルコール依存のメカニズムと具体的な症状、治療法について、専門家に話を聞きました。(取材・文/日本文章表現協会代表理事 西田延弘)

酒を飲むといい気分になるのはなぜ?

「酒は百薬の長」といい、その効能はよく知られています。嫌なことがあった時には、お酒を飲むことによってさわやかな気分になったり、前向きな気持ちになったりします。「これは、アルコールが理性をつかさどる大脳新皮質の働きを抑制し、普段は抑えられている感情が活発化するから」と説明するのは、薬物などの依存症が専門の星薬科大学組織再生学研究室講師の芝崎真裕先生。

 また、健康面に目を向けると、アルコールには、食欲増進、病気の予防といった効能があります。

「食欲が増すのは、アルコールに消化酵素の分泌を増やす働きがあり、胃の血流を良くするからです。そして、アルコールには善玉コレステロールであるHDLコレステロールを増やして動脈硬化を抑制する効果があり、まったくお酒を飲まないよりも少し飲む方が、心臓病や脳梗塞の発症リスクが下がるという研究結果もあります」

 しかし、過度の飲酒は重大な悪影響を引き起こし、急性アルコール中毒はもちろん、健康面でもさまざまな病気のリスクを増大させます。

「例えば、がんや高血圧、脳出血、脂質異常症などは、飲酒量に比例してほぼ直線的にリスクが上がることが報告されています。これに対して、少量の飲酒だと発症リスクが下がる心臓病や脳梗塞であっても、1日に男性約40g、女性20g以上アルコールを摂取すると、発症リスクが急激に上がります」