第8回第9回で紹介した、宇都宮さんや今宿さんの例を見ても、本当に多くの準備をして、段階を踏んでいる。場合によっては、その夢の実現のためには新たな技術を習得するとか、資格が必要であるとか、大学や大学院に入り直して勉強する必要があるということもあるだろう。

 実際に、50歳を超えてから溶接の技術を学んで、それで独自にパン焼き釜を作って、パン屋さんを開いた人もいた。あるいは50歳を超えてから司法試験の勉強を始めて、弁護士になった人もいる。

 あるいはメンターを見つけて相談をしたり、事業を行うための仲間を募ったり、資金集めをしたり、物件を探したり、営業をしたり……そうした準備の連鎖を「戦略」という。

 ビジョンを作り、戦略を立てて、そして具体的な計画に落とす。これは、皆さんがビジネスパーソンとして日々取り組んでいることではなかろうか。それと同じプロセスを自分の人生において行うのだ。

有言実行で自分を駆り立て
巡ってきたチャンスに全力で挑む

 理念ができて、戦略を立てたら、次にはその理念を広める。公言する。つまり、4段階目に行うのが、有言実行だ。

 私も、社会人材学舎を作るに当たって、何百人もの人にその話をした。マスで語った人数も加えれば、1000人をはるかに超えるだろう。「私はこれをやります」「これは私の使命です」「世の中はこうなったほうがいいと思います」と皆に言う。言うというよりも誓う。

 そうすれば、その方向に行かないわけにはいかなくなる。自分で自分の尻に火をつけてしまうわけである。かつて本田技研では、「二階に上げて梯子を外し、さらに下から火をつけ」て、事業開発を加速化させたそうだ。意図的に追い込んで頑張らせることを自分で自分に行うのだ。

 不思議なことにそうすると、意外と手を差し伸べてくれる人が多いことに気がつく。たとえば私自身、テレビに出たいと思ったのは、30代の初めくらいだったが、「テレビに出てみたい」といろいろな場所で言っていた。そうすると、向こうからそういう話が舞い込んでくる。

 どこから来るかというと、ネットワーク理論でいうところの弱い紐帯Weak Tieの人から来る。人生の転機は、毎日会っているようなStrong Tieの人からではなく、年に1~2回しか会わないようなWeak Tieの人から巡ってくるものなのだ。

 全くそのとおりで、こういうことを言い続けていると、「お前、ちょっと出てみないか」という声が掛かる。もちろん、最初から地上波というわけにはいかない。私の場合は、初期のCS放送だった。商社が運営していたチャネルの、ある番組のキャスターだった。正直、ギャラが安いわりには、テーマ決めから脚本から何まで全部自分でやらなくてはならなかった。要するに、誰もやりたがらないから私に回ってきたのだった。

 しかし私はそれをチャンスだと思った。それで一所懸命にやった。すると、後は芋づる式だ。それを見ていてくれた人が声を掛けてくれる。ビジネスブレークスルーに出演する機会を得て、私もブレークした。