「東大を受けなさい」と言わない理由
髙橋 ほかにも印象深かったのが、開成の巨砲、長江くんです。彼はホームランバッターなのですが、「僕はメジャーリーガーになりたい。それは、校長にも宣言した」と言うんです。宣言する長江くんもスゴいけれど、それを聞く柳沢校長もスゴいなと(笑)。
柳沢 あれは僕もよく覚えていますよ。高校3年生を集めた対話集会での質疑応答の時に、ある生徒はとぼけたふりをして「先生、僕はものすごくバカなんです。中学の時からバカだと気づいたけれど、高校でそれを確信しました。僕はハーバードに行けますか」と聞いてきた。彼は完全に質問を仕込んできていた。その質疑応答の時、「僕はメジャーリーガーになります。なれますか?」と聞いてきたんです。僕は彼に「ああ、なれるよ」といいました。
髙橋 「なれるよ」とおっしゃったんですか? それはなぜですか?
柳沢 目標を掲げて、それに挑戦していく。その過程で無理だとわかったら、新しい目標を設定すればいいから。開成の生徒だって、やってみなきゃわからないからね。開成の生徒は常によく考えているので、教師に対してちょっとひねった回答を準備して様子を探ってくるんです。授業中も、ひねった質問で教師を困らせるというか、そういうことに常に頭を使っているんですね。要は、あんまり素直じゃない。だから、もしもこの学校で「東大を受けなさい」と指導したら、誰も受けなくなっちゃうんじゃないかな。だいたい教師に言われた通りにやるような生徒たちじゃないからね(笑)。
髙橋 彼らはあまのじゃくだったわけですね(笑)。
次回の対談は、5月23日に掲載予定です。
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