事前の話との食い違い、
悪質なケースと仕方がないケース

 当社と他の人材エージェントを併用して転職活動を行い、他のエージェントからの紹介で転職された方から入社早々にご相談を受けることがあります。

「入社前に聞いていた話と違うんです……」

 実際に紹介を受けたエージェントには相談しにくいので、勢い当社に来られるわけです。具体的にお話を聞いてみると「労働基準監督署に相談したほうがよいかもしれませんね」とお答えする場合と、「それは仕方ないですね。そのまま頑張ったほうがよいと思います」という場合があります。

 前者の場合とは、たとえば約束した給与や賞与が支払われない、あるいは経営企画室勤務で入社したはずなのに実際の配属は配送センターといった、明らかな約束違反があったり極端に仕事の内容が異なったりするケースです。しかしこうした悪質なケースはほとんどなく、後者の「仕方がない」ケースが大半です。

「仕方がないケース」とは、入社1ヵ月で降格ではない人事異動になったり、3ヵ月で業務の範囲が変わったりといったことです。そもそも年収800万円くらいの転職であれば、入社前と入社後で何か変わっているのが当たり前と思っておくべきです。

 なぜなら、面接を受けているときから実際に出社するまでには、3ヵ月半から5ヵ月くらいの時間がかかるからです。この変化の速い時代では、それだけの期間があけば会社の置かれた状況は絶対に変わっています。とくに転職先が中小企業であれば、社長の気が変わっている可能性も大です。

 つまり、面接や内定のときと聞いていた話と異なる部分が出てくるのは、企業が変化する経営環境に対応した結果なのです。明らかに悪質なケースでなければ、基本的には腹をくくるべきだと思います。