「いまの会社と同額の年収が希望です」が
OKワードの場合、NGワードの場合

「希望年収はいくらですか?」

 面接官は候補者に対し気軽にそう聞きますが、これは面接結果を左右しかねないかなり重い質問です。多くの人はこの質問に対しこんな風に、遠慮がちに答えます。

「いまの会社では600万円もらっているので、同額の600万円が希望です」

 要は現在と同じだけの年収を希望する人が多いのです。その答えが正解になるかどうかは転職のパターン次第で、ある場合はOKでも別の場合はNGとなります。

 もし同業他社への転職であれば、同額希望で何も問題はありません。企業にとって中途採用は候補者の経験を買うもので、売上と利益にどれだけ貢献してくれるかがポイントです。いままでの経験を入社したその日から活かせる同業他社への転職では、「前職では600万円だったので、今回は700万円以上が希望です」と言ってよいでしょう。

 しかし異業種への転職で、これまでの経験が50%しか使えず50%は新しく学ばなければいけない転職の場合、前職と同じかそれ以上の給料が欲しいというのはおかしいと採用側は考えます。パフォーマンスが半分に落ちるのに、前の会社と同じ給料がもらえるという理屈は成り立ちません。前職の年収は1つの目安ではありますが、なぜその水準を要求するのかという根拠が必要なのです。

 ところがこのロジックを理解していない方が意外といるものです。これは自分の仕事にどの程度の価値があるか見積もりをせず、漫然と給料をもらっている人によく見られる傾向です。ひどい人になると「前職の同期が700万円もらっていたから私も同じ年収が欲しい」と根拠にならない根拠を持ち出して、ばっさり面接を落とされたりします。