「管理職になりたがらない」「すぐ感情的になる」「新しい課題を任せると嫌がる」……女性部下に対してこうしたイメージを持ち、接している男性上司が少なくない。しかし、これらの先入観を持ち、女性の言動の裏にある本音を理解せずに接し続けると、彼女たちのやる気を失わせてしまう可能性が大きい。では、男性にはわかりづらい働く女性部下の本音とは、一体どのようなものなのか? また、どのようなマネジメントをすれば、彼女たちは力を最大限に発揮してくれるのだろうか。企業で女性向けのキャリア研修等を行い、働く女性社員の本音を良く知る日本マンパワーの小出真由美さんに話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 林恭子)
男性上司からみた
ちょっと面倒くさい女性部下「3つの特徴」
――最近、結婚して子どもが生まれた後も働き続ける女性社員が増えていますが、彼女たちのマネジメントに悩む男性上司が少なくありません。
日本マンパワー 人材開発企画部 研究開発グループ 専門課長
株式会社日本マンパワーで、主に企業内個人を対象とした通信教育講座「メンタルヘルス・マネジメント検定(R)講座」「キャリアカウンセラー養成講座」「ワーク・ライフ・バランス実践術」や、女性向けのキャリア研修「CDS for “W”」等の人気講座を開発する傍ら、産業カウンセラー、キャリア・デベロップメント・アドバイザー、メンタルヘルス・マネジメント検定1種マスターコースなどの資格を取得。コンサルティングや各種セミナー講師も行っている。
そもそも男性上司には、女性の本音に耳を閉じてしまう人が多いように思います。自分の母親や妻が主婦として家のことを中心にやってきたという古い価値観で働いてきた男性からすると、最近の若い女性の意見は、わがままに聞こえるようです。
例えば、「管理職になりたくない」「結婚して仕事と家庭の両立が難しいからこの仕事は受けられない」と言う女性がいるとします。すると男性は、「わがままだ、責任感がない」とすぐに自分の価値観で女性社員を判断しがちです。
しかし、女性がそう言うのには理由があります。「仕事を受けた以上はしっかり責任を持ってやりたい」。そのため、できるかどうかわからないグレーの段階では断ったり、断らないまでも自信がないため、謙虚な答えをしてしまうのです。
こうした裏側にある女性の本音を引き出せないまま、表面的に「だから女性は」と括って一律にマネジメントをしてしまってはいけません。中にはやる気のある人もいれば、本当に今は環境が許さないために断っている人もいるからです。
――実際、男性上司は女性社員に対して、どんなイメージを持っているのでしょうか。
主に、「女性は昇進意欲が乏しい」「すぐ感情的になる」「新しい課題を嫌がる」というイメージがあるようです。
日本マンパワーが企業の人事部にとったアンケートを見ると、会社側が女性のキャリアアップを後押しする施策をとっても、当の女性が乗ってこない、意欲がないという意見が圧倒的に多く寄せられています。ただ、先ほどもお話ししたように、それにも理由があります。昇進意欲が乏しいことに関しても、「絶対に出世したくない人」は一部で、やれるなら昇進したいと思う人もいます。ただ、経験不足の問題や家庭の事情などの不確定要素から、責任感を持って取り組めるか不安なのでしょう。