近年、多くの企業が女性管理職の割合を挙げようと躍起になっています。ところが、管理職に占める女性の割合は、わずか11%で先進国のなかで最低レベル。
女性社員の口からもれるのは、「出世に興味がない」「管理職になりたくない」という声。連載2回目は、近著『もっと上手に働きなさい。誰も教えてくれなかった女性のための仕事のルール』のなかで、「昇進した先にあるのは『秘密の花園』。目指さないほうが損」と語っている内永さんに、女性社員が出世を敬遠する本当の理由と、キャリア・アップの本当の意味をうかがいます。
「出世」に対する誤解
仕事は好きだけど、出世には興味がない。
仕事は続けたいけど、別に出世はしなくていい。
そういう女性が多くいると聞きます。なぜでしょう?
ひょっとすると、みなさんは「出世なんかしても、いいことがない」と思ってはいないでしょうか。管理職になったら責任が増えるばかり。給料はたいして増えないのに損。出産や育児と両立できなくなる。出世するより、やりがいのある今の仕事を続けたい。
もし、そんなふうに考えているとしたら、誤りです。
出世すれば自分のやりたいことがやりたいようにできるのです。自由に人を使って、予算を使って、プロジェクトを実現できる。要は、仕事の裁量が格段に広がるのです。
ある企業の社長が就任直後に、嬉しくてたまらないという様子でこんなふうに言いました。
「今日から誰も僕を止められないんだよ!」
まさに彼の言う通り、「出世」の本質はそこにあるのです。私はこれを「秘密の花園」と呼んでいます。出世して管理職になった人は、口を揃えて「大変、大変」と言うものです。でも、それは単に大変なのではなく、「イタキモ」なのです。「大変だけど、快感!」。実は、こっちが本音で、「大変、大変」はタテマエにすぎないのです。