経営者や管理職が「出世する女性の条件」として挙げるのが、「女性社員からの評価が高いこと」。ところが、実際の職場では、女性が女性を敵に回してしまうケースが多いようです。
 連載初回では、近著『もっと上手に働きなさい。誰も教えてくれなかった女性のための仕事のルール』のなかで、「私がキャリアの階段を昇っていくことができたのは、まわりの女性がみんな味方になってくれたから」と語っている内永さんに、女性の同僚を味方につけて、快適にキャリアを積んでいくコツをうかがいます。

女性社員の反感を買ってしまったワーキング・マザー

 最近、私が理事長を務めるJ-Win女性ネットワークのメンバーから相談を受けました。

 彼女は、小学校低学年のお子さんのいる30代後半のワーキング・マザー。ある時、本社への転勤を命じられ、子連れで単身赴任をする決心をしました。

 すると、職場のワーキング・マザーたちからこんなふうになじられたそうです。「あなたが余計なことをしたから、こっちまで転勤させられちゃうかもしれないじゃない!」。彼女としては仕事のチャンスを一生懸命につかんだつもりが、結果として、女性の同僚を敵に回してしまった。つらい状況です。

 一般に、男性の場合は入社すればたいてい仕事一筋になりますが、女性の場合は、働きかたについていくつか選択肢があります。

 たとえば、とにかく仕事を一生懸命やりたい「仕事重視」のタイプと、仕事はそこそこにして育児や家事を優先したい「プライベート重視」のタイプ。子どもがまだ小さいため時短勤務をしている女性もいれば、深夜残業をいとわない女性もいます。

 そのため、立場の違いからたがいを妬んだり恨んだりしがちです。

「私はこんなに働いてるのに、ずるい!」
「そんなにバリバリ働かれたら、私の立場がないじゃない!」

 現場では、そういう女性社員同士の目に見えない衝突が繰り広げられているようです。非常にデリケートで難しい問題です。