そのうち自分で作詞作曲もやって、ソロで食っていけるミュージシャンになりたいと思うかもしれない。独立を考えた際にピアノやキーボードの実績があったほうが曲が作りやすいだろうな、とか考えたりもする。極端な例かもしれないが、これは組織内の配置転換のようなものだ。

 そうこうしていると、バンドの問題点も見えてきたりして、「自分が先頭に立って活動をするにはここはこうするのにな」みたいな話にもなってくる。

 どうだろう、こう考えると企業というのは自分を高めてくれるとても良い学校に見えないだろうか。自分1人で活動するということは、そのような学びの機会を失うということでもある。

 そうやって考えると、真に独立志向の強い若者ほど、自分が起業を狙っている業界のトップのような場所で経験を積むことが良いように思う。

独立ベンチャーが生き残る道は2つ
革新性あるビジネスモデルか、顧客を持っているか

 自分の話で恐縮だが、今思えば独立なんて大胆なことをしたと思う。ただ、僕には業界で4年ぐらい働いてきて勝算があった。それに、この時流に乗っていくつかのチャンスがあった。

 また、こんなことを言うのもどうかと思うが、自分の会社は所詮は下請けの会社である。上に言われたことをこなすのが下請けの役目であって、独立と言えば聞こえはいいが、簡単に言えば大口の顧客を抱える町工場のような存在であり、仕事の流れとしては大企業の一事業部と何も変わらない。そこには革新性もビジネスモデルを考える必要もない。ただ、上に嫌われないように要望に応えるだけだ。まあ、サラリーマンは上司を選べないかもしれないが、弊社はお客さんを選べる立場にあるので、そこは独立して良かった点の1つではある。

 独立をして成功するベンチャーは、常に2種類である。1つは顧客を抱えている会社。これは弊社が当てはまる。そして2つ目は独自のサービスやビジネスモデルを持っている会社で、これがベンチャーキャピタル(VC)からの投資を受けたり、バイアウトや上場を目指す、真のベンチャー企業と言えるだろう。もちろん、前者のように安定した顧客を抱える会社が革新的なサービスを生み出して後者のようになるパターンもある(ビル・ゲイツ率いるマイクロソフトはIBMの発注に答える形でWindowsの原型となるOSを生み出した)。革新的なサービスを始める意気込みで始めた企業が、資金的に立ちゆかなくなって気がついたら営業活動に奔走しているケースもあるだろう。