オフィスではなくカフェなどの場所でWi-Fiやクラウドを駆使しながら働くスタイル「ノマド」が注目を集めている。しかし一方で、ノマド批判が一部でブームとなっているのも事実だ。ネット上では有名無名問わず、多くの人がこの話題を論じ、過激な批判も目立つ。
なぜ、ノマドはこんなにも話題になるのか。それはノマドという言葉が、単なる仕事術やスタイルを越え、なぜ人は働くか、人はどう働くべきなのかといった根源的な問題を突きつけているからなのではないだろうか。
そこで当連載『ノマドってどうよ? ~賛否両論から「働く」を考える~』では、ノマドの話題を軸にしながらも、「理想の働き方は?」と言った根源的な問題を考えていきたい。
今回は、東日本大震災後に会社を辞め、フリーランス、その後ノマドワークをしているが、現状、収入的に問題があるという某ライターに話を伺うことにした。ご本人の希望により、匿名であることをご了承いただきたい。(インタビュー日:2012年11月中旬)
1983年生まれ。震災を機に新卒で入社した会社の事務職を辞した。以前から文筆業で副業的に収入を得ていたので、それを本業にして独立。当初は順風満帆に思えたのだが…。
【ノマドへの見解/筆者の印象】
「職場で最も真面目と思われたあの人がフリーランスに!?」という話はよく聞くが、おなじくDさんも見た目からは会社を辞めそうにない真面目な人。確かに仕事に真面目に取り組むという点では、信用力の問われるフリーには一見向いていると思うのだが…。フリーランスという働き方に失敗したDさんには、現在注目を集めている「ノマドワーキング」はどう映るのか。
震災後、会社を辞めて独立
辞める寸前は「会社のインターホンの音まで憎かった」
――実はこれまでの回は、識者と呼ばれるような専門家や、比較的ノマドワーキングに成功している人たちを取り上げてきたんですよ。で、そろそろ毛色を変えて、会社員から独立してノマドワーカーになったけど、失敗してしまった人の話も聞こうという話になりまして。