ここまで書いてきて分かるとおり、新しいビジネスモデル・サービスを生み出す方が、難易度が高いということがお分かりいただけると思う。まだこの世界にない革新的な事業を思いつくのはたやすいが、それが世の中に成立していないのには理由があり、誰かがすでに断念した可能性が高い。巨額の投資も必要となるケースが多く、そうなると銀行やVCから融資を受けるための知恵も必要だ。ビジネスモデルに特許があり他者がマネできないようなものなら良いのだが、大企業からライバルとなるサービスを展開されて四苦八苦するケースも多い。大企業には何しろ資本があり、大胆な投資も可能だ。

 そうなると、やはり独立経営者を目指す人は、その業界における王者である大企業に就職し、現状の業界の流れを理解した上で、その会社の弱点・盲点を突くことに励んだ方が近道だと思われる。

 だから僕は「ビジネスモデル」を生みたいという優秀な学生で、かつ学生の間に現状何も生み出せていない場合は、まずは独立したい業界のトップクラスを走る大企業に就職することをおすすめする。

 一方、革新性はないけどもそこそこの技術と営業努力さえあればなんとか独立してやっていけるという業種も世の中にはあり、そういう人が独立を検討している場合は僕も背中を押すケースが多い。

独立してフリーライターになった
Mさんに見るキャリアアップ方法

 ではここで僕と近い業種というか、僕の会社から独立してフリーランスで活躍中のMさん(32歳)を例に、独立に向けたステップアップの様子を紹介しよう。Mさんの職業はライター。先述の技術と営業努力があれば食える業界の1つと言えるだろう。

 もともと独立志向が強く、僕の会社に転職してきたばかりの時から「将来的には独立したい」と言っていた。Mさんは大学卒業後まずは予備校で働き、その後地方の新聞社に転職する。彼はここで新聞記者としての「いろは」をたたき込まれた。29歳になって脂の乗ってきたころに、彼は転職活動を行い、そしてWeb系編集プロダクションを標榜する弊社に転職した。この業界では30歳前後と言えば独立する人も多い。が、彼はそうしなかった。

 地方新聞社での経験がすぐに活かされて、弊社に転職した際にはすでに高い文章力を持っていた。技術と意欲を持った彼は、なぜいきなり独立せず、弊社に転職したのか。彼には地方新聞社で培った文章を書く技術があったが、フリーランスライターに原稿を発注するクライアントのツテをその時点では持っていなかったのだ。そこで、上記の例で言う、「顧客を抱えるライター」にステップアップするべく、弊社に転職することにしたのだ。