先日、テレビを買い換えた。消費増税前に買うべきかどうか迷って、結局、5月の大型連休明けに買うことにした。
消費増税前にチェックしていた価格と比べたところ、3%以上も下落していた。増税前の駆け込み需要に躍らされなくてよかったようだ。
ニッポンの金融政策は現在、インフレ・ターゲット論を採用している(日本経済新聞、2013年5月27日付「池上彰の必修教養講座」)。賛否両論ある政策だが、いまでは賛成派が多数を占める。
しかし、日銀が目指す物価上昇は、はたして「善」なのか。
実際にモノを購入する消費者の立場からすれば、モノの価格は安いほうがいい。スーパーマーケットの店頭に並ぶ商品の値札が、4月以降、軒並み値上がりしているのを見ていると、インフレ・ターゲット論は「偽」または「誤」のような気がしないでもない。
安くなったといえるのは、レタスくらいか。顧問先を訪ねると、レタスの「現物給付」を受けることが多いので、冷蔵庫がレタスで溢(あふ)れかえってしまった。
食品の価格が総じて高くなったと感じるのは、円安のせいもあるだろう。ニッポンの食糧自給率が低下傾向にあれば、それは輸入の増加を意味する。円安は、海外から輸入される食材の価格上昇をもたらす。
農林水産省のウェブサイトでは、「平成24年度食糧自給率をめぐる事情」が公開されており、その2頁目に次の図表が掲載されていた。
〔図表 1〕の右端を見ると、平成24年度(2012年度)の食糧自給率(カロリーベース)は39%にまで低下している。ニッポン人の主食である米の自給率が97%であるにもかかわらず、全体では39%にとどまるとなると、食卓に並ぶ食材の大半は「輸入もの」になるのであろう。
「平成24年度食糧自給率をめぐる事情」に掲載されている他の資料で個々の自給率を見ると、果実33%、畜産物16%、小麦13%、そして油脂類に至っては3%にすぎないことが記載されていた。
食糧自給率がこれほど低いと、円安の直撃を受けて価格が上昇するのも当然のことといえる。