昨年12月、「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録された。世界的に和食ブームが到来するなか、中国でも和食文化がよりいっそうの広がりを見せている。

 かつて中国の和食といえば、現地駐在の日本人向けの高級消費であり、中国人の食生活とはほとんど縁のないものであった。

 上海でも同じだった。2000年代に入ると、日系企業の増加とともに日本料理店も増えたが、一部のローカルスタッフが日本人駐在員と同伴で店に入る機会はあっても、一般の上海市民にはまだまだなじみのないものだった。ましてや寿司や刺身にこだわる日本人の姿は、理解を超えた姿として、彼らの眼には奇異に映った。

富裕層向け高級和食に始まり
今では寿司がコンビニ弁当の定番

 上海の中国人富裕層が、和食やマグロ、日本酒に関心を向け始めたのは2000年代の中ごろからだった。上海には日系企業と取引する経営者や日系企業に勤務するホワイトカラーも多く、こうした層を中心に「高級和食」が知られるようになった。接待用の高級酒はワインか日本酒とされ、いち早く中国へ輸入されてきた高級酒「久保田」は「八海山」とともに富裕層の寵愛を受けた。和食と日本酒の美味は、知る人ぞ知るものとして特権階級の需要の中で高級化の道をたどり、上海では「本格割烹」やネタで勝負する「高級寿司店」なども開店した。

 近年、そのすそ野はさらに広がる。コンビニでは寿司が定番の弁当になり、繁華街では回転寿司が週末グルメの代表格となった。上海市内では至る所に日本料理店の看板が掲げられ、しかも、その支持層は着実に中間層にシフトしつつある。

データ:サーチナ総研

 今回筆者は、サーチナ総合研究所(上海)と共同でヒアリングシートを作成した。同研究所が北京、上海、広州、成都、西安の中国人1000人を対象に行った調査結果は興味深い。「どの国の料理が好きか」という問いに対し、「日本料理は中華料理に次いで二番目に好きな料理」に挙がったのである。

 また、「日本料理を好んで食べる」と回答した層は、月収5000元未満~8000元台(約8万円強~15万円弱)の管理職や技術職に集中していることがわかる。さらにこの層には日本酒(清酒)ファンも多く、明らかに和食文化は中国の中間層にまで広がりを見せている。