ティラワ港の水深は6メートル?!
泥で埋まりつつある主要港

 ミャンマーに進出した企業から、物流が非常に難しいという話を聞く。実際のところ、ミャンマー国内外での陸・海・空路はそれぞれどうなっているのか。うまく機能していない場合、何がボトルネックになっているのだろうか。

 今回は複数の現場での取材を基に、ミャンマーにおける物流の現状について、海路、空路、陸路の順番に見ていくことにしよう。

 まずは海路についてだ。代表的な港湾であるヤンゴン港は、下記の5つのターミナルから構成されており、現在、取り扱い量がもっとも多いのが一番上にあるAsia World Port Terminal (AWP)だ。

(1)Asia World Port Terminal (AWP)
(2)Bo Aung Kyat Port (BSW)
(3)Myanmar Industrial Port (MIP)
(4)Sule Pagoda Port
(5)Myanmar International Terminal Thilawa (MITT)

 ヤンゴンから一番南にあるのが5つ目のティラワで、準備作業が進むティラワ工業団地に一番近いターミナルだ。こちらはコンテナ貨物より、中古自動車輸入、最近政府に禁止されたチーク材の原木輸出等、バラ積み船が中心だ。ティラワの工業団地が開発された段階で、コンテナを扱える新しい港が出来る予定になっている。

 ただヤンゴンにある港に共通している問題は、どのターミナルもヤンゴン川の河川港であるため、水深が限られていることだ。外洋に近いティラワ・ターミナルでも、外部資料では水深10mとの記載も見られるが、これはあくまでも満潮の時の水深であり、干潮になると6mくらいまで下がってしまう。

 従って、ヤンゴン港に出入りするコンテナ船は、満潮を待たないと近いところまで進めない。その結果、多くの船が、よく潮待ちをやっているのを見かける。潮待ちが1日4回あるため、なかなか予定通りスムースに入港出来ない。その結果、到着してすぐに折り返し出航を行うといったことが、出来ない状況にある。