3月7日の日経新聞朝刊に、「欧州『住宅』変調の兆し」という見出しで、ヨーロッパの住宅価格が下落傾向にあるとの記事が載っていた。
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英国の2月の住宅平均価格は、昨年10月のピーク時に比較して4%下落している。1月の新規住宅融資件数は、去年6月比で約6割の水準という。サブプライム問題で痛んだ銀行が、融資に慎重になってきている。英国では、負債がGDPに占める比率がアメリカ以上に高い。住宅を担保にした金融商品も発達しているので、不動産価格下落の影響が今後大きく出る可能性がある。英国以外でも、アイルランドや、スペインの地中海リゾート地域で下落が顕著だという。ドイツ、フランスなどのユーロ圏も、下落まではいかないが、価格の伸びが減速していると報じられている。
一方で、アメリカの住宅価格の下落も顕著だ。3月9日の日経新聞によると、もっとも下落幅の大きいカリフォルニア州では、前年比6.6%の下げだという。ただ5年前と比較すると、まだ69%も高いというから、まだまだ下落する余地がありそうだ。
今後の下げ余地がどの程度かについて、確たる研究があるわけではないが、1月3日のウォールストリートジャーナルに、過去の家賃利回りに関する研究が載っていた。これによると、1960年ごろからの年間の家賃収入の利回りは、住宅価格に対して5~6%の間で推移していた。それが90年代の終わり頃から顕著に低下して、昨年の第三四半期では3%台後半まで下落。仮に家賃が今後4%程度ずつ上昇する前提を置いたとしても、向こう数年で15%程度の下げが必要だという研究を紹介していた。ただ不景気の中で、これまでのような家賃アップは難しいかも知れない。仮に家賃が一定と考えると、20数%は下がる計算だ。アメリカの住宅価格下落には、まだまだポテンシャルが残っている。今後も金融機関の財務を痛めるだろうし、住宅が介在した信用収縮が続くと思われる。
日本でもマンション価格の下落が続く
では、日本はどうなのか。不動産経済研究所が発表した、1月の首都圏マンション1戸あたり平均価格は、前月比237万円下落の4210万円となっている。物件の広さや質も考慮しなければならないので、別の指標も見よう。1月の首都圏の新規マンション発売戸数は前年比19.1%のダウンだ。しかも発売戸数が下がっているうえに、契約率も前月比6.6%、前年比21.4%の下落となっている。
マンション価格は、昨年7月ごろをピークに、サブプライム問題で急落し、今に至るまで下落を続けている。一方、契約率では、2005年8月の首都圏契約率89.1%をピークとして、これが2年少々で52.7%にまで落ちてきている。こちらは趨勢的な下落が早く始まっていた。つまり価格が上昇しながら契約率が下落したということは、昨年の時点で既に、一部の高額物件だけが動いて、全体の市況は低調になってきていたということだ。