厚労省がこれから行おうとしている調査は、資料によれば、

<生活保護受給世帯の居住実態に関する調査(仮称)の実施>
○ 住宅扶助特別基準額の水準の検証に資するデータを得ることを目的として、今年度中に生活保護受給世帯のより細かな居住実態に関する調査を実施する予定。
○ 調査内容及び時期等については、地方自治体の負担なども考慮しつつ検討する必要があるが、以下の内容が考えられる。
調査時期(案) 平成26年7月又は8月
調査対象(案) 調査月において、訪問計画に基づく家庭訪問の対象となっている生活保護受給世帯のうち一定数
調査項目(案)
※ 住宅・土地統計調査の調査項目を参考として検討
(1) 住宅等に関する事項
居住室の室数及び畳数、住宅の所有関係
(2) 住宅に関する事項
家賃又は間代の額、建築時期、床面積、設備に関する事項(台所の形態、水洗
トイレ・洋式トイレの有無、浴室の有無、洗面所の有無)
(3) 世帯に関する事項
世帯構成、最低生活費
調査方法(案) ケースワーカーが、賃貸契約書の記載内容及び家庭訪問時の目視等により確認

 というものだ。福祉事務所ケースワーカーの多忙な業務の中で行う調査である以上、項目面ではこれが限界かもしれない。問題は、サンプルとする世帯の選択にある。部会長の駒村氏も、この点を、

「世帯の選び方にバイアスがないようにする配慮、事務局としては考えていますか?」

 と厚労省にただした。厚労省サイドは、

「(筆者注:ケースワーカーが)訪問の対象とする世帯を対象にすればバイアスかからないかと」

 と答え、

「(筆者注:現場に)負担なくバイアスなくやりたいので、このようにしました」

 と言葉を添えた。筆者からみると「これでどうして、バイアスをかけない配慮ができるのか?」だ。恣意・意図といったものが入り込まないとしても、訪問回数の多い世帯、すなわち「働けるのに就労努力をしないので訪問しての働きかけが必要」「依存症などの問題があり頻繁な訪問が必要」といった世帯が多く選択されることになる一方で、生活保護の範囲で大きな問題なく落ち着いた生活を送っている世帯は選択されにくくなるだろう。そのような世帯は訪問頻度が少なくなり、「1年間に2回」の最低限度の訪問しか行われないことが多いからだ。

 部会委員からは、この調査を意義あるものとするために、数多くの意見が出された。

 低所得層の住宅事情に詳しい園田真理子氏(明治大学教授・建築学)は、まず調査の規模を問題にした。厚労省によれば、調査規模は10万世帯程度なのであるが、クロス集計した時に市町村単位で「サンプル数が少なすぎる」という問題が出る可能性がある。また園田氏は、生活保護世帯のうち100万世帯が民間賃貸住宅に居住している日本の事情について述べ、民間賃貸住宅約2000万戸のうち5%が生活保護世帯の住居となっている特殊性を強調した。さらに

「このクロス集計で、日本の低所得世帯はどういうところに住んでいるかは分かります。でも、いま問題になっているのは、住宅扶助の水準は妥当かどうか、『ナショナル・ミニマム』かどうかです」

 と述べ、高度成長期と現在の状況の違いを指摘した。