2013年12月6日、混乱する国会で、生活保護法改正案・生活困窮者自立支援法案が成立した。

メディア報道の多くでは、「不正受給対策の強化」「就労自立の促進」という面がクローズアップされている。

2012年12月、自民党政権成立に「終わりです」と嘆いた生活保護当事者は、今、何を思い、どのような毎日を送っているだろうか?(参照:政策ウォッチ編・第7回

ついに可決された
生活保護法改正案に当事者は…

 2013年12月6日、参議院・衆議院ともの混乱の中で、生活保護法改正案・生活困窮者自立支援法案が衆議院で可決された。これら2法案は参院先議のため、衆議院での可決によって成立した。改正生活保護法は、一部を除いて、2014年7月1日より施行予定となっている。

 生活保護法の改正が必要な理由は、提出時法案によれば下記のとおりである。

 保護の決定に際してのより実効ある不正の防止、医療扶助の実施の適正化等を図ることにより、国民の生活保護制度に対する信頼を高めるとともに、被保護者の就労による自立の助長を図るため、保護の決定に係る手続の整備、指定医療機関等の指定制度の整備、被保護者が就労により自立することを促進するための給付金を支給する制度の創設等の措置を講ずる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

 問題は、金額ベースで1%にも満たない「不正受給」であり、当事者の意図とはしばしば無関係な医療扶助の不正・不適切な実施であるとされている。また、「被保護者は就労による自立を充分に行っていない」とも見られている。そうでなければ「自立の助長を図る」「就労により自立することを促進する」という文言は出てこないはずだ。

 賛否はともあれ、これが日本政府と政府与党の公式見解なのであろう。

 では、生活保護を利用している当事者は、2013年8月1日から施行された生活保護基準見直し(ほぼ大幅引き下げ)と生活保護法改正について、どう考えているだろうか? 

平田さんの住む町では、冬場、気温がマイナス25℃になることもある。でも、平田さんの利用している暖房機器は、石油ストーブとホットカーペットだけだ
Photo by Yoshiko Miwa

 今回は、本連載政策ウォッチ編・第7回にご登場いただいた平田明子さん(仮名・44歳・北海道在住)の声を紹介したい。もともと小学校教員だった平田さんは、結婚、DV被害に遭っての離婚を経験した後、非正規雇用で教育委員会などに勤務していたが、職場でのパワハラが引き金となって精神を病み、休職して治療に専念したものの回復せず、退職。その後、生活保護を申請して利用を開始し、現在は2年目となる。