■誤解その3:復帰後は簡単な仕事だけを任せればよい?

 「昔と違い、単純作業や事務補助の仕事は、外部にアウトソーシングされていたり、契約・派遣社員に任せたりしている会社がほとんど。復職直後の正社員に『最適』と主治医が考えているような仕事は、すでに正社員の仕事ではないのです」

■誤解その4:完全に治して戻って来いよ

「よくうつ休職者に『十分休んで、完治してから復帰してほしい』などと言いますが、これは誤った考え方。うつは必ず治る病気ですが、簡単に完治するものでもない。また、完治しなければ、まったく働けないという病気ではありません。多少の症状があっても、仕事はできる。うつを抱えながらも、症状をコントロールしながら仕事を継続している経営者は少なくない。つまり、うつは完治を目指すより“上手に乗りこなす”べき病気と考えたほうがいい」

 足を骨折したマラソン選手は、ギブスが外れたからといって翌日から競技に出場できるだろうか?そんなことをすれば、大切な足は取り返しのつかないことになってしまう。うつも同じだ。「治りましたよ」「そうか!じゃあ頑張ってくれ!」では、病気が再び悪化するのも当然だろう。つまり、ギブスが取れた後の“心の筋トレ”なくして、職場復帰は絶対にうまくいかないのだ。

これが「心の筋トレ」計画だ!

 それでは、うつの部下の“心の筋トレ”は、具体的にどのように進めたらよいのだろうか?山口氏のアドバイスを紹介しよう。

 「『症状が軽快してきた』という主治医の診断が出て、“おっくう感”がとれたらリハビリ開始。その後の経過は次の通りです」

■「そろそろ復帰」期

通勤時間に合わせて電車通勤(車通勤)し、会社の近くの喫茶店や図書館で過ごしてもらう。毎日8~10時間は、外出先で過ごせるだけの基礎体力がないと、通勤だけでグッタリ疲れて仕事にならない羽目になるので要注意。さらにチャレンジさせるとよいのが、賑やかで刺激的な環境で、集中して本や新聞を読むこと。デパートや家電店のようなところがいい。職場は電話や話し声で騒々しいもの。周囲の音にイライラすることなく仕事に集中できることが大切だ。

■「間もなく復帰」期

全国の障害者職業センターで実施している「職業能力判定」や「復職デイケア」を受けさせ、自分の弱点を知ってもらう。回復の偏差値を知り、職業カウンセラーのアドバイスを受けることが成功の鍵となる。職場復帰は受験と同じなのだ。