米国カリフォルニア州が異常事態に陥っている。7月1日、アーノルド・シュワルツェネッガー州知事は財政非常事態を宣言した。翌2日は税金還付等の住民への支払いのためにIOU(借入証書)の発行を始めた。IOUとは、約束手形のようなもので、一定の期日に同州が3.75%の利息付きで現金を支払うというもの。

 州政府のIOUの本格発行は、1930年代の大恐慌時以来のことだ。

 経済危機で税収が落ち込み、カリフォルニア州をはじめとする地方財政は窮乏している。「米国の地方自治体は均衡財政を義務づけられており、一定幅以上の赤字は許されない」(安蒜信彦・三菱UFJ証券シニアクレジットアナリスト)。歳入が大幅に減少すればそのぶん歳出を削り、収支を均衡させなければならない。

 ところが7月1日から始まる新年度の予算が6月30日までに成立せず、新年度の歳入不足は240億ドルから263億ドルに拡大。IOU発行に追い込まれたわけだ。

 同州では、予算成立には議会の3分の2の賛成が必要なこともあり、いまだに予算成立のメドは立っていない。現在発行しているIOUの返済期日は10月2日。予算など歳入不足解消策が講じられない場合、現金残高がどうなるかを、同州は予測しているが、IOUの発行で9月まではなんとかプラスを維持するものの、10月は一転、147億ドルのマイナスに転じ、その後も150億~230億ドルのマイナスが続く。

 こうなれば、発行している債券の利払いができなくなるのは確実。つまりデフォルトだ。

 市場も警戒してか、同州債のクレジットスプレッドは現在も拡大基調。同州は連邦政府に支援を要請したが、ガイトナー財務長官はこれをあっさり拒否した。

 このままなんの支援もなく10月を迎えれば、デフォルトは確実。そうなれば、金融市場混乱の引き金をひく“第2のリーマンショック”にもなりかねない。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 竹田孝洋)

週刊ダイヤモンド