ビジョンを掲げることで発揮される
リーダーシップは強力

 では、どうすればいいのか。そこで出てくるのが、「正義・大義・なすべきこと」というリーダーシップの源泉だ。

 これをもう少しわかりやすい言葉にすると、「ビジョンの提示」ということになる。リーダーシップの源泉において、最も強力で、かつ多くの人に受け入れられる可能性があるのが、ビジョンの提示だ。

 ビジョンを提示することで、人々を動かしていくリーダーシップを、ビジョナリー・リーダーシップと呼ぶ。

 まさに、人々に方向性を示すことだ。「こういうことをやろう」「この方向に行こう!」と言って、「そうですね」「やりましょう」と皆が口ぐちに言ってついてくる。こういう形のリーダーシップこそがますます求められる時代なのだ。

 ということは、目的の明確でないリーダーシップはあり得ないということになる。ビジョンが不明確なリーダーは結局リーダーシップを発揮できないということになる。そこをしっかりと頭に留めていただきたい。

 今はまさに混迷の時代だ。だからこそ、どちらの方向に組織の舵を切るのかで、組織の活力のあり様は全く変わってしまう。だからこそ、ビジョンが出しにくいのも事実。どうしても玉虫色の総花的なモノを出したくなる。しかし、それを口にしてしまった瞬間に、リーダーとしての魅力はなくなる。

 そういう意味では、組織のリーダーとして、本当に難しい時代になったと思う。組織にも頼れない。これまで積み上げてきた専門性にも頼れない。もちろん、そうしたものも兼ね備えるに越したことはないが、それだけでは立派なリーダーとはなれない時代なのだ。

 実際に、これまでさまざまなリーダーが表舞台に登場してきたが、多くの人を巻き込んだリーダーたちは、うまくビジョンを使っているということがよくわかる。

 しかもそのリーダーたちの出すビジョンは、内容がすぐれているだけでなく、表現もまた優れている。内容は当然なのだが、その表現方法も人の心を打つものでなくてはいけないのだ。

目に浮かぶ景色は、
百万言よりも雄弁だ

 NHKで2000年3月から05年12月まで放映された『プロジェクトX~挑戦者たち~』を覚えているだろうか。

 あのシリーズで描かれたプロジェクトのリーダーはその多くがいわゆるビジョナリーリーダーであった。