経営 × オフィス

目の前にいない部下を、どうやって評価するか?
――「働き方変革」推進企業の人事部が越えた壁

河合起季
【第2回】 2014年6月13日
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仮想デスクトップ環境と
フリーアドレスをフル導入

 もちろん、働き方変革のベースとなるIT基盤は整えられている。

 「従来のように会社に行かないと仕事ができない環境を『物理オフィス』、今の状態を『仮想オフィス』と呼んでいます。仮想オフィスでは、クラウドを利用した仮想デスクトップ環境を導入し、いつでもどこでもどんなデバイスからでも業務ができるようになっています。ビデオ会議やWeb会議、チャット、社内SNSもあります」

 これらのITツールによって、付加価値を生み出さない通勤時間や移動時間が減り、代わりにお客様の訪問件数が増え、会話の内容も濃くなっているという。

 従来は訪問先の顧客からの質問を「宿題」として社に持ち帰ることが一般的だった。しかし現在では、仮想デスクトップによって資料がすぐに呼び出せるため、お客様の質問にその場で回答できるケースが増えた。技術的に高度な質問であれば、その専門知識をもつ社員のプレゼンス(居場所)を調べ、スケジュールが空いていれば、チャットでビデオ会議に呼び出してそのまま顧客とディスカッションしてもらうことも可能だ。

 当然、資料などはファイルサーバーに保管されている。

 「以前は、社内会議の資料を持ち歩いているマネージャーもいましたが、今ではすべての会議室に設置したモニターを使って会議をするようになり、資料を持ち歩く社員はいなくなりました。第一、紙ベースで仕事をしていては、テレワークができません。目的に合わせて働く場所が選べる、電車の中でも資料が作成できる、どこにいても会議に参加できるなど、社員自身にとってもメリットになれば、誰もが率先して実施するようになります」

 昨年5月、JR東京駅の目の前にあるタワーに移転した新本社オフィスは、フリーアドレス化しており、個人に与えられているスペースは小さなロッカーだけ。以前のように資料を積み上げておける自分のデスクはない。大テーブルの空いている席で仕事をするようになり、社員の働き方やコミュニケーションも大きく変わった。

ネットワンシステムズの本社内にある、新しいワークスタイルのデモンストレーションスペースでは、実際にテレビ会議で外部の社員とコミュニケーションが取れる

 制度の普及に向け、社員への啓蒙活動も継続して行っている。社内サイトで、働き方変革やワークライフバランスの方針に関する経営者のビデオメッセージを繰り返し配信。広報室が運営する社内コミュニケーションサイトや社内報でも、働き方変革に関する工夫や成功体験などを紹介している。

 たとえば社内報では、テレワークやフレックスタイムを活用した社員が自宅で家族と一緒に夕飯をとる様子を伝える『突撃!隣の晩ごは~ん!!』を企画。第1回の出演は下田氏自身で、いつもは帰りが遅いお父さんとの夕食に2人の子どもは大喜びだったようだ(下の画像参照)。

ネットワンシステムズの社内報より 拡大画像表示
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「働き方」という経営問題―The Future of Work―

人口減少による働き手の不足と経済・社会のグローバル化が、企業経営を取りまく大問題となっている。そのなかで、企業が競争優位性を築くためのキーワードとして浮上しているのが「ワークスタイル変革」だ。識者への取材や企業事例の紹介を通じて、すべての企業と働く人に問われている「働き方」の課題を明らかにしていく。

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