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サッカーW杯優勝のドイツ代表が
8年間改善してきた「数字」とは?

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ダイヤモンド・オンライン編集部
【第53回】 2014年7月14日
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 今回のW杯でドイツ代表の戦いを振り返ると、突出したスーパースターがいたわけでもなく、凄みも感じないが、相手チームの守備はいつの間にか崩されてゴールを決められるシーンがよく見られた。

 どんなシステムの相手でも、パスを回されていると少しずつ陣形に隙間ができてくる。高速でボールを動かすことで、相手に修正する時間を与えず、隙を突きながらボールをゴール前に運ぶ。あとは、確実にシュートを決めることができる決定力のあるフォワードが複数いたことが勝因ではないだろうか。

 もちろん、ボール保持時間を短縮したから優勝できたというほど、単純な話ではないだろう。しかし、明確な数値目標があったことで、チームとしての長期的な戦い方の方向性が定まっていたことが、ドイツのブレない強みの原点だったはずだ。

 ブラジルを震撼させ、世界最強となったドイツの「超高速パスサッカー」は、8年前から具体的な強化方針を定め、下部組織やクラブチームも含めたドイツのサッカー界全体で取り組んだ研究と改善努力の賜物だったのだ。

4000万件のデータで
試合中に起きたことをすべて再現

 分析に必要な試合中のデータ収集はどのように行われているのか。現在では高精細なカメラ数台でフィールドを撮影することで、ボール、選手22人とレフェリーを含めたすべての動きをリアルタイムに取得することができるという。ただし、1試合90分間で取り込むデータの量は約4000万件にも達する。分析するには特別なシステムが必要だ。

 ブラジルW杯の直前、SAPはDFBとの共同開発による最新のサッカー分析システム「マッチ・インサイト」を発表した。1試合4000万件、過去の試合を含めれば数十億件という膨大なデータをリアルタイムに分析し、試合直後に監督や選手にとって意味のある情報として確認できるだけでなく、次の試合に向けた選手連携の確認や戦術のシミュレーションも容易に行えるアプリケーションである。

 すべての選手とボールの位置が1秒間に30フレーム記録されるため、選手の微妙な「身体の向き」の変化や、「キラーパス」のようなプレーの中身まで、データだけで判定することができるという。

 このシステムの基盤は、リアルタイムに大量のデータを処理することに適したSAPのインメモリーデータベース+アプリケーション技術である「HANA(ハナ)」だ。

 従来の分析で用いていた「プレー」の数としてのゲームデータは1試合約2000件だったのに対し、リアルタイムに採れる4000万件というデータはとてつもなく巨大だ。それだけに、HANAのような高速大容量の処理系が生かされる分野といえるだろう。

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