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アップルとIBMの“強者連合”は
企業向けIT市場の大再編を引き起こすか

松岡 功 [ITジャーナリスト]
【第55回】 2014年7月23日
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 そうした中、モバイル端末で確固たる強みを持つアップルと企業向けシステムを得意とするIBMが相互補完する形となった両社の提携は、いわば“強者同士”の理想の組み合わせといえる。とくに企業向けIT市場には波紋が大きく広がりそうだ。果たして競合他社はどう打って出るのか。

 そこで、競合となりうるベンダーを次のように分類してみた。

 まずIBMと競合する企業向けシステムを得意とするベンダーとしては、米ヒューレット・パッカード(HP)、米オラクルなどが挙げられる。日本のベンダーでは、富士通、NEC、日立製作所もこの分類に入る。

 一方、アップルと競合するベンダーとしては、有力なモバイル端末用OSを保持していることを前提にすると、米グーグルと米マイクロソフトが挙げられる。

 そう見ていくと、アップル・IBM連合に対抗しうるのは、グローバルレベルでいうと、HPとグーグルあるいはマイクロソフト、もしくはオラクルとグーグルあるいはマイクロフトといった組み合わせとなる。

 ただし、マイクロソフトはソフトウェアやクラウドサービスで企業向けIT市場にも大きな影響力を持っており、グーグルもクラウドサービスで企業向けIT市場に一定の影響力を保持している。したがってHPおよびオラクルとは競合する部分もあり、アップル・IBM連合のように相互補完の形にはならない。

 現状ではこうした見方ができるだろうが、筆者はアップル・IBM連合の企業向けIT市場における影響力が想像以上の大きさになるのではないかと推察する。とりわけ「独占的なパートナーシップ」にその威力を感じる。先に挙げたHP、オラクル、グーグル、マイクロソフトの4社は、その影響力を敏感に受け止めているのではないだろうか。

 筆者がとくに注目したいのは、モバイル端末用OSでアップルとシェアを分けているグーグルの今後の動きだ。

 先ほどグーグルはクラウドサービスで企業向けIT市場に一定の影響力を保持しているとしたが、実は一層の拡大に向けて試行錯誤を続けている状況でもある。したがって、グーグルが今回のアップル・IBM連合と同様の目的をもって動き出せば、企業向けIT市場は一気に大再編に向かう可能性があると見る。

 さて、そうした情勢を見越して、日本勢はどう動くのか。後追いではなく再編を先取りして立ち回れるチャンスでもあると思うのだが…。

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松岡 功
[ITジャーナリスト]

まつおか・いさお ITジャーナリストとして複数のメディアにコラムや解説記事を執筆中。1957年生まれ、大阪府出身。電波新聞社、日刊工業新聞社、コンピュータ・ニュース社(現BCN)などで記者およびIT系月刊誌の編集長を歴任後、フリーに。主な著書は『サン・マイクロシステムズの戦略』(日刊工業新聞社、共著)、『新企業集団・NECグループ』(日本実業出版社)、『NTTドコモ リアルタイム・マネジメントへの挑戦』(日刊工業新聞社、共著)など。

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