グルントヴィの思想
クフンダ・ビレッジを作るにあたり、デンマークのフォルケホイスコーレを参考にしたと言います。フォルケホイスコーレは、第3回目の記事でも紹介していますが、19世紀の牧師グルントヴィの構想に起源があります。デンマークの上流階級から下層の農民たちまですべてを対象とした国民教育で、生きた民族意識もしくは市民意識を形成することが目的でした。
「彼の思想から学んだ教育で最も大切なことが2つあります。まずは、生まれながら誰もが持っている才能という情熱に火をつけることです。もし火がついていないなら、私たちはある意味自分たちの影にいることになります。学ぶという行為を通して、心の奥底にある才能に触れること知るのです。
2つ目は、ルーツや伝統、自分たちがどこから来ているのかを考える機会を作ることです。そこから、深い自尊心を養うのです。これが私なのだ、というプライドと自信が才能とつながったとき、そこには学びと発見することの喜びを感じるようになります。そうすれば、私たちは何でも実現できるようになるのです」
南アフリカの元ネルソン・マンデラ大統領が、大統領就任前、27年間の投獄中に心の支えとしたウィリアム・アーネスト・ヘンリーの詩はこのように締めくくられています。
「私が我が運命の支配者、私が我が魂の指揮官なのだ」
デンマークとアフリカが教えてくれるのは、私たちの内面の世界にある計り知れない可能性と希望なのです。
最終回へと続く(9/30掲載予定です)
大本綾(おおもと・あや)
1985年生まれ。立命館大学産業社会学部を卒業後、WPPグループの広告会社であるグレイワールドワイドに入社。大手消費材メーカーのブランド戦略、コミュニケーション開発に携わる。プライベートでは、TEDxTokyo yz、TEDxTokyoのイベント企画、運営に携わる。2012年4月にビル&メリンダ・ゲイツ財団とのパートナーシップによりベルリンで開催されたTEDxChangeのサテライトイベント、TEDxTokyoChangeではプロジェクトリーダーを務めた。デンマークのビジネスデザインスクール、The KaosPilotsに初の日本人留学生として受け入れられ、2012年8月から留学中。
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