デンマークのフォルケホイスコーレ

 原点に気づくのは自分への問いと対話から、原点を維持するのもやはり信頼のおける他者との対話の場があるかどうかで変わるようです。そんな対話が生まれる場所がアートやデザインスクール、The KaosPilots以外にも北欧にはあるはずだと思いました。なぜか北欧の人は「対話慣れ」しているように感じたからです。

 それから様々な人の話を聞いて、ここだ!と感じたのがフォルケホイスコーレでした。フォルケホイスコーレは、デンマークの教育者で、神学者、歴史家でもあったグルントヴィによって19世紀中頃に築かれたデンマークの学校制度です。17.5歳の成人であれば誰でも入学することができます。

 4カ月間、半年、1年間と学校により期間は異なりますが、高校を卒業して大学に進む前に来る人が多いようです。プログラムは多岐に渡り、スポーツ、アート、音楽、デザイン、プロジェクトリーダーシップ、など伝統的なもの、趣味やスキルを磨くもの、現代社会の課題に取り組むものまであります。

 基本的にフォルケホイスコレーレでは、成績を決めるような試験はありません。したがって、失敗を恐れず思い切って好きなことに取り組めます。また取り組む問題に正解は一つではないため、様々なアプローチから問題を解決する能力を身につけることができます。

 全寮制で生徒が(時には教師も)寝食を共に過ごすこと、先生と生徒の関係が限りなく平等であることもユニークなところです。さて、そんなフォルケホイスコーレがクリエイティビティとどう関係しているのか論点を掘り下げていきたいと思います。