6月16日、17日に開催された「PTC Live Global 2014」。米大手CADソフトメーカーのPTCが、自社新製品のほか、IoTがもたらすインパクトと製造業の未来について発表した。 Photo:DOL

「モノのインターネット」という、よくわからない日本語で訳されるIoT(Internet of Things)。マッキンゼーによれば2025年には6.2兆ドルもの経済効果を生む技術である。

 簡単に言えば、IoTとはパソコンやスマートフォン、タブレットだけではなく、身の回りのあらゆるモノが埋め込まれたセンサーによってインターネットに繋がり、相互で通信が可能になる技術や仕組み、状態である。企業はリアルタイムでモノの状態や利用情報をつかむことが可能になり、その情報をメンテナンスや顧客サービスへ活用するようになると言われる。

 企業のビジネスモデルひいては価値の源泉も破壊的に変革するインパクトを与えると言われており、実際にこの鼓動は、アメリカの一部の企業で始まっている。(詳細は前編を参照)

 日本の企業もこの流れに確実に巻き込まれる。では、“モノづくり”にこだわってきた日本の製造業はこの流れに対応できるのか。IoTがもたらす変革の波に、うまく乗れるのだろうか。

ソニーで起こった「CAD論争」
「部分最適」組織が統一化を阻む

 まず大前提として、企業がIoTを活用してサービスを開発するなら、製品を構成する部品やソフトウェアなどのあらゆる情報を一元管理している必要がある。そうでなければ、IoTを介して得られた情報を、サービスに活かすことができないからだ。

 そこで、製品情報の一元管理をするためのPLM(製品ライフサイクルマネジメント)ソリューション、製品を設計する際のCAD(コンピュータ設計支援)ソフトなどが重要になってくる。これらを提供する米PTCなどにとってはIoTは大きなビジネスチャンスとなるのだ。

 IoTの対応には、製品情報のデジタル化やシステムの統一が第一歩になるわけだが、この第一歩のところで、日本企業は躓く可能性がある。