45万部突破の人気シリーズ最新刊、『餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?[不正会計編]』が7月17日に発売になりました。ヒカリと安曇教授のコンビが、今度は粉飾や横領という不正会計の問題に挑みます。その出版を記念して、同書のプロローグから第2章までを、全5回に分けてご紹介いたします。
エリート養成研修プログラム
「こんなの、ありなの?」
ヒカリは不愉快でたまらない。入社したのはニューヨークコンサルティングのはずだった。しかし、実際に勤務するのはタイガーコンサルティングという小さな会社なのだ。
思い返せば、入社の日から様子がおかしかった。ニューコン社長の前原は、新入社員を前にこう切り出した。
「ビジネスコンサルタントは星の数ほどいます。その中で、わがニューコングループのコンサルタントは世界中で1万人、日本にはたったの500人たらずのエリート集団です。そして諸君もまた応募者2000人の中から選び抜かれたエリートの卵なのです」
エリートという甘い言葉の響きに、ヒカリは思わず酔いしれた。
「しかし、誤解してはいけません。諸君はまだエリートではありません。真のエリートになるには、いくつかの試練を乗り越えてもらわねばならないのです。言うまでもなく経験です。はっきり言いましょう。名門ニューヨークコンサルティングのプロフェッショナルを名乗るには、研修プログラムをパスしてもらう必要があります」
(研修プログラム、いい響きだ)
アメリカかヨーロッパにあるニューコンの研修センターで、世界中から集まった仲間たちとプログラム化されたトレーニングを受けるのだろう、とヒカリは期待に胸を膨らませた。
「研修については、担当の海野から説明があります。何はともあれ、君たちにエールを送りたい。一刻も早くニューコンの戦力になるよう力の限り頑張って欲しい」