「ただ実際に組織で働くと、本来の目的から離れた無理や無駄は一杯あるからね」

「今の就活のやり方を否定しても始まらないという訳ね」

「そうなんだ。それに就活で勝ち越すことは必要ない。1勝14敗で十分だ」

「その1勝が納得のいくものならいくら負けても大丈夫」

「そうそう、いいこと言うなぁ」

「少しは就活で成長したからね(笑)」

「お父さんは、若い時に組織で働くことはすごく大事だと思っているんだ。裕美がその場を確保できたのがとても嬉しいよ」

「働く動機」は
もっとシンプルでいいはず

 娘は内々定を取得したので、今までの就活を振り返る余裕も出てきたようである。

 娘が友人との会話の「とにかく働いて、経済的にも精神的にも自立したい気持ちが強い」というのは父親の私にはすんなり腑に落ちる。関西勤務になっても実家を出て1人で住みたいという希望も聞いていたからだ。

 本来、働く動機は、就活で求められるよりも、もっとシンプルなものだ。私たち父娘の場合は「もっと多くの人に出会いたい」「精神的にも経済的にも独立したい」だが、人によってそれは大きく異なる。

「家族の生活を支えるために働く」
「お客さんの喜ぶ顔を見るのが好き」
「身体を使って働きたい」
「多くのお金を稼ぎたいから」
「将来の独立のために技能を磨きたい」
「安定した生活を望んでいるから」

などの自分から湧き出たシンプルなことが本当のパワーになる。

 私が東京に勤務していた時は、「オフィスが宝塚劇場に近いから」という理由で遠方から通う契約社員もいた。

 理屈や頭で考えたことは、どうしても力を失う。就活での業界研究、自己分析、会社説明会、面接(集団、個人)などのプロセスは、本当の動機とはかけ離れているかもしれない。ただ、それはそれで「無用の用」として取り組むことも必要だ。組織で働くことは、そういう自分と向き合うこともあるからだ。