30年前、一軒の寿司屋がはじめた回転寿司チェーン「スシロー」。利益を二の次に、ひたすら「味」にこだわり続けた結果、業界トップ、年商約1200億円、年間来客数のべ1億2000万人の国民的企業に成長しました。はげしい競争を勝ち抜いてきた「スシロー」の仕事哲学・商売哲学をまとめた本『まっすぐ バカ正直に やり続ける。』から、一部をご紹介していきます。
30年間成長し続け、
業界トップに上り詰めた「理由」
はじめまして。
回転寿司チェーン「スシロー」の社長を務める豊﨑賢一です。
おかげさまで、スシローは、2013年度の売上が1193億円と過去最高を記録。創業以来30期連続増収するとともに、2011年度から3年連続で業界売上高ナンバーワンを達成することができました。
「成長の秘訣は?」
よく、そのようなご質問をいただくのですが、私の答えはシンプルです。
まっすぐ、バカ正直に、やり続ける――。
この一言に尽きる、と思うのです。
スシローは、回転寿司チェーンのなかで唯一、寿司屋にルーツをもつ会社です。
五島列島出身の創業者・清水義雄が、大阪の下町・阿倍野につくった「鯛すし」というお店が原点。庶民的なお店が並ぶ町でしたから、それほど高いお金はいただけませんが、「味の鯛すし」と呼ばれるほど、新鮮でよいネタを出すお店でした。
その「鯛すし」に、私がアルバイトで入ったのは18歳のときのことです。一流の寿司職人になって、30歳くらいで独立することを夢見ていました。
ところが、その翌年、清水は隆盛の兆しをみせていた回転寿司に参入。私も、回転寿司で働くことになってしまいました。そのときは、まさか1200億円企業になるなんて夢にも思いません。当時は、まだまだ回転寿司の評価が低い時代。「安かろう悪かろう」の代名詞のように見られていましたから、正直なところ回転寿司で働きたくはありませんでした。