忙しいとついつい頼りがちな栄養補助食品やサプリメント。あれやこれやと食事に気を付けなくても、手っ取り早く足りない栄養が補給できるなんて、こんなに便利なものはありませんよね。しかしその一錠が、その一口が、あなたの健康を害しているとしたら……。今回は医学博士で『なぜ、一流の人は「疲れ」を翌日に持ち越さないのか』の著者、裴英洙先生にお話しをお伺いいたしました。
国民の半数以上がサプリ利用経験あり。
安易に信用すると恐ろしい結果に…
食べ物の栄養素なんてよくわからないし、病気ではないから薬はちょっと……。だからお手軽なサプリメントで栄養補給―ー忙しいと「手っ取り早く簡単」なものについ走りがちです。
有難いことにドラッグストアには、棚いっぱいに様々な種類のサプリメントが勢ぞろいしています。以前、ある患者さんから「サプリメントをたくさん飲んでいるのでお腹が減らず困っている」という笑い話のような笑えない訴えがありました。
2009年に国立健康・栄養研究所が行った調査では、国民の半数以上にサプリメントの利用経験があり、幼児の約15%がサプリメントと考えられる濃縮物を与えられてているというデータが報告されています。ここまでサプリメントが普及した要因には、サプリメントは健康食品の一つと考えられている時代背景があるのではないでしょうか。
しかし、驚くことなかれ、実は、健康食品という言葉には明確な定義はありません。ぼんやりとした「健康に何らかの良い効果が期待できる食品全般」が、今の時代のサプリメントの立ち位置です。国から機能表示を許可されているものは、「特定保健用食品」(いわゆるトクホ)と「栄養機能食品」だけで、それ以外は“自称”健康食品となります。少し乱暴な言い方になりますが、発売する人が「これは健康食品です」と言えば、それはもう健康食品になるのです。