今年4月に設立された日本リユース業協会の活動が徐々に活発化してきた。ハードオフコーポレーションなど、リユース業を営む上場企業を中心に大手8社でスタートした日本リユース業協会(東京都/山本善政会長)だが、新卒社員採用のための合同会社説明会や関連官庁とのパイプづくりなどに取り組み始めている。今後は、本格的な会員募集に向け準備を進めていく。
リユース業は、最近の低価格志向、節約志向に加え、環境意識の高まりに伴い、業界全体の業績が上向いている。上場企業も増え、その社会的認知度も確実に向上している。とはいうものの、盗難品や偽ブランド品の流通など、業界全体で取り組むべき問題も少なくない。
こうしたなか、今年4月、リユース業の上場企業8社が業界の健全な発展を実現することを目的に、日本リユース業協会を立ち上げた。新卒者の合同採用など、単独企業では取り組みにくい活動を始めている。
日本リユース業協会は、ハードオフコーポレーション(新潟県/山本善政会長兼社長)(家電)、アップガレージ(東京都/石田誠社長)(カー用品)、パシフィックネット(東京都/上田満弘社長)(パソコン)、コメ兵(愛知県/石原司郎社長)(総合店)、ゴルフ・ドゥ(埼玉県/伊東龍也社長)(ゴルフ用品)、ゴルフパートナー(東京都/石田純哉社長)(ゴルフ用品)、トレジャー・ファクトリー(東京都/野坂英吾社長)(総合店)、フォー・ユー(香川県/清水孝浩社長)(総合店)の8社により設立された。設立の目的は、「リユース」ならびに「リユース業」の社会的認知度の向上とリユース業の健全な発展。
設立のきっかけは、2年前から始まったリユース業者の交流会。この交流会を通じて、単独では実施が難しい催事・イベントを合同で行うことが発案された。その一環として昨年11月、2010年3月期に就職を予定している新卒者採用のための合同の就職説明会を日本リユース業協会準備委員会として実施。参加企業の中には、質の良い学生の内定を取り付けた企業もある。この準備委員会が母体となり、日本リユース業協会が今年4月に発足。会長には、ハードオフコーポレーションの山本善政会長兼社長、副会長にはアップガレージの石田誠社長とパシフィックネットの上田満弘社長がそれぞれ就任した。
わが国のリユース業は確実に成長しており、経済産業省「商業統計」によれば、中古品小売業(自動車・自転車・本・骨とう品を除く)の市場規模は、1997年に年間販売額908億円だったが、2002年2111億円、2007年3452億円と10年間で3.8倍に増加した。しかし事業所数は、1997年の4189店から2002年には8106店と一気に倍増したものの、2007年には7741店と減少。店舗の淘汰が始まっている。
その反面、上場企業は増加してきた。この動きについて日本リユース業協会の川島正紹事務局長(アップガレージ経営企画室室長)は「2000年前後までは流行で店舗は増加したが、一部は淘汰される一方、最近は上場企業が増えて、リユースが生活に根付いている」という。
日本リユース業協会の事業は、・リユースおよびリユース業の認知度向上のための広報・啓もう活動、・リユース事業者における法令違反行為防止のためのPR活用・監視行動、・リユース業にかかわる関連省庁および業界団体との連携、・リユース市場の健全な発展に関する政策の提言、・良質なリユース品の流通を促進する施策の提言、・リユースの市場規模ならびに流通実績状況の公表、・リユース事業者認定制度の制定および認定事業者の公表、など。
日本リユース業協会が設立される以前に、小規模のリサイクルショップで構成される団体はあったが、社会的影響力の強化を目的に、あえて上場企業を中心とした大手で新しい協会を設立した。
当初は任意団体として運営されるが、将来的には社団法人化をめざす。また会員企業を募集する計画で、「正会員」「特別会員」を今後募る。
単独では実施の難しい事業の実現に今後も取り組む計画で、今年も合同の就職説明会を実施する計画だ。
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