関係者の多くが気づいていない、
いや知っていても、そんな話は聞きたくない?
「自動運転技術では、日本が世界をリードしている」
自動車メーカー、自動車部品メーカー、通信インフラ関連メーカー、そして霞ヶ関の関係者の多くがそう信じている。
その根拠はITS(*1)の実用化だ。なかでも、ETC(*2)の普及は世界屈指。先進国のなかで全土を同じシステムでフルカバーしているのは日本だけだ。VICS(*3)及びそれを進化させたITSスポット等、道路交通情報システムの構築についても、日本は世界に先んじた。アメリカの主要都市のラジオ交通情報では、いまだにヘリコプターからの生中継が主流だ。
ITS技術が一同に介したITS世界会議東京(2013年10月/東京ビッグサイト)では、世界に向けて日本の自動運転技術をお披露目。それに同調して、安倍晋三総理大臣が首相官邸周辺で自動運転を体験した。
こうした「日本優位」の体制が当面続くと、多くの関係者が信じている。
だが、そこには大きな落とし穴が3つある、と筆者は思う。
米自動運転シンポジウム、シリコンバレー各所、さらにその前後の日本各地での取材を含めて筆者が感じた、「3つの落とし穴」(=3つの注意点)をご紹介したい。
*1 Intelligent Transport Systems/高度道路交通システム
*2 Elecronic Toll Collection System/自動課金システム
*3 Vehicle Information and Communication System/道路交通情報通信システム