日本企業に打撃を与えた期限切れ食肉問題
あまりにも低い中国の“食の安全”意識
7月下旬、米食品卸売大手のOSIグループの中国法人である、上海福喜食品有限公司が販売した食肉の一部が、使用期限切れであることが発覚した。
そのきっかけは、上海テレビが潜入取材した番組の中で、期限が半月も過ぎた食肉や床に落ちた食肉がラインに入れられる場面が映し出されたことだった。
それを受けて、上海市当局は立ち入り検査を行った。その結果、工場では期限切れの食肉を長年にわたって利用してきた事実があり、しかもそれは工場の上層部の指示によって組織的に行われてきたことが判明した。市当局は迅速に営業停止の措置をとると共に、警察当局は工場の責任者など5人を拘束した。
見逃せないポイントは、当該工場から出荷されていた食肉が、日本以外も含めてマクドナルドやスターバックス、バーガーキング、さらにはファミリーマートなどに供給されていたことだ。つまり、衛生上明らかに問題のある食肉が大手チェーンの販売チャネルを通って、多くの消費者に販売されていたのである。
その影響は小さくない。日本マクドナルドは、販売しているチキンナゲットに期限切れの食肉が含まれている懸念があるとして、一時販売中止の措置をとった。マクドナルドの迅速な販売中止措置にもかかわらず、わが国の消費者の食の安全に対する反応は鋭敏だった。
今年7月の既存店売上高は、前年同月比17%を超えるマイナスになったと言われており、消費者のマクドナルド離れが鮮明化した。
中国企業が関連した“食の安全”に係る事件は、今回が初めてではない。2002年には、中国産冷凍ホウレンソウが農薬で汚染されていた事件が表面化した。また2007年には、会社に不満を持つ食品工場の従業員が冷凍餃子の中に薬物を混入させ、当該餃子を食べた消費者が食中毒を起こす事件も発生している。