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中国「LINE封鎖騒動」の真相
――「グレートファイヤーウォール」はこうして作動した

渡辺大介 [ピド代表取締役]
【第58回】 2014年8月21日
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 また最近ではモバイル端末の利用増加に伴い、政府の監視が効きにくい海外企業だけではなく、中国版「LINE」とも言える「We Chat」も、主にウイグル族の間でデモ用途に利用されたため、中国政府が運営会社であるテンセントへ協力を要請し、テンセント側が応じた形だ。

 このように、現状では特にモバイルメッセンジャーアプリなど、間接的に規制対象となり得るサービスについても、海外企業だけでなく中国最大手の企業においてもアクセスが遮断されており、規制対象となっている状況である。

なぜLINEがこのタイミングで
アクセス規制となったのか?

 LINEが中国に進出してから既に1年以上経過しているが、なぜ今このタイミングでアクセス規制が掛かり、中国での利用ができない状況になっているのか。

 現状としては、中国政府が正式に理由を公表した訳ではなく、LINEもまた公式微博(ウェイボー、中国のSNS)にて、「アクセス障害が発生し問題を解決するため最善を尽くしている(2014年7月2日、意訳)」と発表したのみである[図2]

2014年7月2日以降、LINEからのコメントはなく、ユーザーからは2万件以上のコメントが寄せられている

 ただ、現在の中国国内事情やこれまでのLINEのプロモーション経過を俯瞰すると、以下のポイントで中国政府側からのアクセス遮断が掛かった可能性が考えられる。

 まず第一にLINEは2014年から中国本土におけるテレビCMや路上広告を積極的に展開しており、7月2日以前はテレビ局の自主規制ないし中国政府からの検閲をクリアしていたので、LINEそのものが従来から規制対象になっていた訳ではない。

 その上で、7月に入り規制対象となった可能性として挙げられるのが、6月4日の天安門事件の日として記憶されている日付の前後、および7月1日の香港返還記念日前後に、LINEのサービス内にて規制対象キーワードが多発し、またLINE側も自主規制ないし中国政府への協力要請に対し、充分に対応できなかった可能性がある、という点である。

 2014年6月前後に話題となった、主に中国語を母国語としたと思われる集団によるLINEアカウントの乗っ取り及び詐欺事件への対処法として、中国では、LINEで「天安門事件」と返信することにより、グレートファイヤーウォールが反応し中国側のアクセスが遮断され詐欺行為を未然に防げる、というものが日本国内で話題となった。

 このタイミングが中国で常時アクセス遮断対象キーワードとなっている過去に「六四天安門事件」が発生した6月4日前後と時期を同じくしたため、グレートファイヤーウォール側にて異常値として検出され、警告措置ではなくLINEサービス全体への即時アクセス遮断となったのではないか、という推測である。

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渡辺大介
[ピド代表取締役]

1981年生まれ。国際基督教大学卒業後、日系システム会社、中国系Eコマース、マーケティング会社を経て現職。2014年より、ピドの代表取締役兼フラクタリストチャイナ日本事業本部長として、日系企業向けに中国市場でのマーケティング支援を行っている。ピドは、中国市場でのモバイルを活用した広告マーケティング分野の最大手企業であるフラクタリストチャイナのソリューションをはじめ、日系企業が中国でのモバイルマーケティング活用を検討するサポートを行う。

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