②企業からの発信ではなく、顧客の声で評判をつくる必要がある
 オムニチャネル時代には、顧客はブランド情報の受信者であると同時に発信者でもある。その声は、時には多くの人々や企業・社会を動かすほどのインパクトを持つ。しかし企業が顧客発信の情報をコントロールすることは困難である。だからこそ、顧客やそのコミュニティとの対話を通じて共感を醸成し、顧客の声によってより良いブランド評価を醸成していく必要がある。

③リアルとネットの融合で、顧客とのインタラクションが重要になる
 顧客は店舗を訪れた際に、スマートフォンで商品の価格や評判をその場で調べることができる。企業の側からはおすすめのポイントやクーポン情報などを届けることができる。リアルとネットが同居するタッチポイントが当たり前のものになる。各々を個別のものとして捉えるのではなく、常に顧客の行動と繋がっているインタラクティブなブランド体験の場として捉え直す必要がある。

ブランド戦略の視点が変わる
「ブランディング3.0」の時代

 オムニチャネル化の進行は、ブランド戦略の概念も進化させはじめている(図1)。

 ブランド戦略は、「ブランディング1.0」、「ブランディング2.0」と、進化してきた。現在グローバルブランドの主戦場は2.0であるが、まもなく3.0へ移行するであろう。

「日本ブランド」は顧客との新しい関係を構築できるか?――オムニチャネル時代のブランド戦略

「ブランディング1.0」時代、ブランドはマーケティング資産であった。ブランドの管理の対象は、ブランドシンボルなどのビジュアルアイデンティ(VI)やネーミングであり、ブランディングの成功要因には、VI要素などを開発する高いクリエイティブ力と、一貫したブランド表現を守りつづけていく社内の強い意志や統制力が求められた。

「ブランディング2.0」時代、ブランドは企業のビジネス資産と考えられるようになった。企業と顧客を結ぶ様々な事業活動の総和がブランド価値向上に結びつくため、ブランドは事業活動を通じて顧客に良好な体験してもらうことに主眼を置くようになった。ブランドの成功の鍵は、全社が一体となってブランディングを行えるか、顧客に感動を与える体験を作り出せるかどうかにかかっている。