社員の満足度向上のため、ES(Employee Satisfaction)活動の施策を考える会社が増えてきました。実施する主な理由は、人材流出、採用難の解消です。具体的な打ち手として考えられる対策の1つが、福利厚生の充実。その中でも、できるだけ効率的に福利厚生を充実させる「カフェテリアプラン」と呼ばれる仕組みに注目が集まっています。
これさえ導入すれば万事うまくいく…と思い込んでいる人事部もある様子。ただ、そこまで完璧な福利厚生の仕組みなどあるのでしょうか?職場の社員たちに意見をもとめて導入したはずなのに、意外と冷ややかな反応しか返ってこなかったケースも少なくないようです。今回は、変わりつつある福利厚生のあるべき姿について、みなさんと考えてみたいと思います。
景気回復で人材流出が止まらない!
苦肉の策は「運動会」と「カフェテリアプラン」
「こんな福利厚生なんてやめて、給料を増やしてくれないかな」
こうして文句を言っているのは、情報通信関連の会社に勤務しているGさん(28歳)。景気が回復した影響もあり、Gさんの会社では人材の流出が止まりません。会社としては業績が向上してきたので新規採用を増やし始めたにもかかわらず、この1年で退職率は15%近い状況に悪化。ついには、「新規採用数よりも退職数が上回る自転車操業のような状態」になってしまったようです。
当然ながら新規採用した人材が社内で戦力になるまでには、時間がかかります。そこで既存社員は業務負担が著しく増えて、一部が職場環境への不満をネット上にまで拡散する始末。そこで人事部は、社員の不満原因を探すため『従業員満足度調査(ESサーベイ)』を実施しました。すると、
<社内に福利厚生の制度が充実していない>
<一体感を生む機会が欠如している>
といった特徴が露わになりました(調査を依頼した会社が次の仕事につなげるため仕込まれた部分があるのは否めませんが)。結果として人事部は経営陣に対して福利厚生の充実や一体感が生まれるイベントの実施を起案。全社員の参加を前提とした運動会(休日開催)と、『カフェテリアプラン』を具体策として挙げてきました。
ちなみにカフェテリアプランとは、会社が準備したメニューから、与えられたポイントの範囲内で、社員各自が自由に選んで利用する福利厚生制度の運用形態。大手企業を中心にかなり導入がすすみつつあります。