人事ビジネス・パートナー (課長級)「業務委託契約書の作成は、人事管理課の仕事でしょ!」
人事管理課長「引き受けたのは人事ビジネス・パートナー・チームなのだから、そっちで作成しないさいよ!」
人事ビジネス・パートナー「事務は、人事管理課がやるべきです。人事ビジネス・パートナーは事務を一切しません!」
人事管理課長「そんなこと誰も決めてない!」
パーティション越しに、女性2人の赤裸々な言い争いが聞こえてくる。どうやら業務の押し付け合いが繰り広げられているようだ。事の発端は、グループ会社で最新の人事制度「人事ビジネス・パートナー制度」を導入したことに遡る。
当時、私が人事部長を務めていたソフトウエア会社では同制度を導入、グループ企業のバックオフィス業務を統括する関連会社・R社に人事業務の一部を委託することになった。R社は、他部門や関連会社に対して、部門人事担当者や、関連会社人事担当者を配置して、人事業務を提供する。つまり「人事ビジネス・パートナー制度」のサービスをグループ会社に対して提供する会社だ。同制度では、これらの人事担当者のことを、人事ビジネス・パートナー、または、HRビジネス・パートナーと称している。
私は、その業務委託契約手続きのためにR社を訪問した。
業務の押し付け合いが止まらない
人事管理課長と人事ビジネス・パートナー
早速私はR社を訪問し、人事ビジネス・パートナーの方と打ち合わせを始めた。すると、「業務委託契約の件でしたら、担当が違いますので、少々お待ちください」と言われた後、しばらくしてパーティーションで区切られた会議スペースの奥から響き渡って聞こえてきたのが、冒頭の言い争いだ。