感染地域では、エボラ出血熱への注意を呼び掛けている。左下はエボラ出血熱への効果が期待される「ファビピラビル」(日本の製品名は「アビガン」)
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 そんな中、一躍注目を集めたのが、富士フイルムホールディングス(HD)傘下の富山化学工業が開発したインフルエンザ薬「ファビピラビル」である。米国防総省がエボラ出血熱の治療薬として実用化を急ぐ意向を表明したからだ。現在、薬を審査する「米食品医薬品局(FDA)と、治験に向けた準備を進めている」(富士フイルムHD)。

 8月12日には、WHOが有効性や安全性が完全に確認されていない未承認薬の使用を一部容認する方針を表明した。

“条件付き”が一転
抗ウイルス効果で待機薬から期待薬へ

 ファビピラビルは「タミフル」や「リレンザ」など、従来のインフルエンザ薬とは、効き方のメカニズムが異なる薬だ。従来の薬がウイルスを細胞内に閉じ込めるのに対して、ファビピラビルはウイルスの増殖自体を防ぐ。

 米国では、通常の季節性インフルエンザ薬として治験が進められており、最終段階である第3相試験に入っている。一方、新しいメカニズムを持つ抗ウイルス薬として、インフルエンザだけでなく、さまざまな類似のウイルス感染症に効く可能性もある。論文ベースでは「マウスでは、エボラ出血熱に効果があることが分かっていた」(富士フイルムHD)という。

 2012年に国防総省は、富士フイルムと提携し米国でファビピラビルの開発を進める米メディベクターに約1億3800万ドル(当時のレートで約110億円)を助成している。通常のインフルエンザ薬としてだけでなく、バイオテロなどに備える薬として開発を促す側面もあったもようだ。